[気鋭のロボット研究者vol.23]ラリー続ける卓球ロボ【後編】/南山大学 中島明教授
「ダイナミックな巧みさ」を追求
中島教授はさまざまな物体を把握できる多指ハンドに続き、2008年ごろから卓球ロボットの開発に本格的に着手した。人とラリーを繰り返せる卓球ロボットを目指し、画像センシング技術や制御技術の研究に取り組む。
「相手が打ったボールの軌道を予測し、最適な場所でボールを正確に打ち返すようロボットを制御する。卓球ロボットで実現したいのは、こうした『ダイナミック(動的)な巧みさ』」と説明する。
ロボットが相手の陣地にボールを打ち返すには、いくつかの課題をクリアしなければならない。まずは相手のラケットにボールが当たった瞬間のボールの位置や回転速度、球速を把握する必要がある。中島教授は画像センサーで取得したこれらの情報を、空気抵抗も加味した運動方程式に当てはめ、ボールの軌道を物理的に予測するという。
中島 明(なかしま・あきら)
2005年3月名古屋大学大学院工学研究科電子機械工学専攻博士課程修了、同工学研究科機械理工学専攻助手。07年4月同助教。15年4月南山大学理工学部機械電子制御工学科准教授。20年4月同教授、21年10月から現職。趣味は読書と合唱。石川県出身。1977年生まれの44歳。