[ショールーム探訪vol.5]関西最大規模の総合ショールーム【前編】/HCI「ロボット・AIラボ、ロボットセンター、ロボハウス」
いざ泉大津へ
大阪府南部の大阪湾に面した地域は泉州と呼ばれ、タオルや毛布といった繊維業で栄えた地域だ。繊維業の他に堺泉北コンビナートの石油化学工業や鉄鋼業、シマノなどに代表される自転車部品の製造などで発展した。近年では地場産業の衰退や住民の高齢化が課題となっているが、大阪市内にも関西国際空港にもアクセスしやすい立地と閑静な住環境が相まって、再開発が進む地域もある。
HCIの本社やショールームのある泉大津市へは、大阪市内から泉州方面へ延びる南海本線が便利で、泉大津駅まで急行で約20分。自動車なら、阪神高速道路の湾岸線経由で30分ほど。今回は車で訪問したが、湾岸線の車窓からは堺泉北コンビナートの背の高い煙突群を見ることができた。
泉大津駅直結の商業施設「アルザタウン」で駐車し、カメラや三脚など撮影機材を抱えて歩く。いつもなら車を降りてからが大変なのだが、この日は気が楽。最初に目指すラボは、同じビルにあるからだ。移動中、アルザタウンの建物の壁に、大手銀行と並んでラボのロゴがしっかりと掲げられているのを発見した。ロボットを広く知ってもらうことは、ロボット導入を検討する中小企業にとっても、社員や家族にロボットを理解してもらうことにつながり、導入の強い後押しになるだろう。
VRでシミュレーション
到着した記者を出迎えてくれたのは、協働ロボットを使って開発したゲート。感染症予防のため、カメラ式の温度センサーで来場者の体温を測定する。
「ここは開発の最前線。開発の過程で必要なテスト用ロボットやシミュレーションシステムをそろえている。体験用のデモ機もある」と奥山剛旭社長は力を込める。入口付近には、試作したロボットハンドで把持テストするロボットや、仮想現実(VR)対応ゴーグルを使ってロボットシステムの全体像を確認できるシミュレーションシステムがある。
VRの中では設計データに基づいて動作が再現される。視点を自由に変えることができるため、死角がないのがメリット。本格的にシステム設計をする前に顧客に確認してもらう時に使っている。記者もゴーグルを装着し視点を変えたり体の向きを変えていたが、ゴーグルを外すと予期せぬ方向を向いていて驚いた。