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2022.10.26

深刻な人手不足で自動化に熱視線【後編】/米国国際製造技術展(IMTS)2022

2022年9月に米国シカゴで開催された工作機械見本市「米国国際製造技術展(IMTS)2022」では、人手不足に対するソリューションとして自動化の提案が目立った。前編ではIMTSの概要や米国での自動化ニーズの高さとその要因、国内の工作機械メーカーの提案を紹介した。後編ではロボットメーカーの米国市場に向けた自動化システムや、海外の工作機械メーカーによる自動化の提案を紹介する。

EV向けの自動化システムを展開

工作機械とロボット、自律搬送車を組み合わせたデモも展示

 工作機械メーカーだけでなく、ロボットメーカーも自動化システムを大々的に展示した。ロボットメーカーで工作機械メーカーでもあるファナックブースでは電気自動車(EV)の部品製造や組み立てに向けた展示が目立った。

 最大可搬質量1000kgの大型ハンドリングロボット「M-1000iA」のデモでは、EVのバッテリートレーを振り回すデモを披露。関節部の仕組みを従来機から変更したことで可動範囲が広がり、最短の移動距離で加工対象物(ワーク)を運べる。他にも、最大可搬質量165㎏のロボット「R-2000iC」と3Dカメラ、2Dカメラを組み合わせ、流れてくる車の車体にタイヤを組み付けるデモなどを展示した。米国法人の島田直樹筆頭副社長は「バッテリー関連の市況が好調。EV関連にはまだまだ伸び代を感じる」と語る。

米国向けの自動化パッケージを展示

「アークワールド HC」は米国のみで展開予定

 安川電機の小間では、アーク溶接をはじめとした溶接の自動化を中心に製品を提案した。米国のジョブショップ向けに溶接協働ロボットパッケージ「Arc World(アークワールド) HC」を出展。リスクアセスメント(リスクの分析と対処)を重んじる傾向が強い米国市場に配慮し、防護カーテンに囲まれていない状態では、加工速度を落とすなどリスクの軽減に力を入れる。

 米国法人グローバルセールスチームの菊池卓也ディレクターは「ジョブショップは製品をすぐ使いたいとの希望が多いため、単品でなくパッケージで提案する。ロボット自体もシステムインテグレーションがしやすい機種を使っているため、導入のハードルが低い」と話す。

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