全体最適の視点に強み、2社協業で協働ロボを中堅・中小製造業に/セレンディップ・ホールディングス、プレミアエンジニアリング
自社でもM&A
セレンディップ・ホールディングスは事業継承のトータルソリューションカンパニーとして、「経営の近代化」と「100年企業の創出」の2つをミッションに掲げ、主に中堅・中小製造業の事業承継や経営支援などを手掛ける。
M&A(合併・買収)のサポートや、経営に関する深い専門知識や経験を備えた「プロ経営者」の派遣による経営コンサルティングを得意とし、顧客である中堅・中小製造業の持続的な成長を支援するさまざまなソリューションをワンストップで提供する。
自社でも積極的にM&Aを実行しており、現在は自動化装置製造の天竜精機(長野県駒ヶ根市、小野賢一社長)やトランスミッション部品製造の佐藤工業(愛知県あま市、植村達司社長)、自動車の内外装部品製造の三井屋工業(愛知県豊田市、高橋直輝社長)、開発段階の試作品製作を得意とするアペックス(東京都八王子市、景山敏行社長)の4社の中堅・中小製造業がグループ傘下に名を連ねる。
プロフェッショナル人材のすそ野の広さが特徴
セレンディップ・ホールディングスはこれまでM&Aやプロ経営者の派遣を中心に業容を広げてきたが、近年は製造現場を熟知したコンサルタントによる現場改善や自動化ソリューション提案にも力を入れている。
2020年4月には「コンサルティング事業部」を発足し、中堅・中小製造業の現場に寄り添ったコンサルティングサービスの提供に本腰を入れ始めた。大手自動車部品メーカーで生産技術の経験を積んだコンサルタントや大手システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)出身のコンサルタントなど、専門性の高い「プロフェッショナル人材」のすそ野の広さが特徴で、各々の専門性を生かしながら顧客の課題解決に向き合う。
出岡寛人コンサルタントは「中堅・中小製造業の共通課題は人手不足。どの製造現場も人材が集まらないとの悩みを抱えているだけに、『人がいなくても回る現場』を目指す必要がある。それを実現するための手段の一つとして自動化やデジタル化がある」と話す。
同社は自動化ソリューション提案の一環で、台湾のテックマンロボットの国内代理店を務めるプレミアエンジニアリングと協業し、昨年8月から協働ロボットを活用したコンサルティングサービス「セレンディップ・ロボットトランスフォーメーション」の提供を開始した。
セレンディップ・ホールディングスのコンサルタントが顧客の製造現場を訪問して課題などをひも解いた上で、最適な工程や作業にテックマンロボットの協働ロボットを提案する。導入支援はセレンディップ・ホールディングスが手掛け、ロボットの修理対応や保守サービスなどはプレミアエンジニアリングが担う。
「まずはお客さまの製造工程を全て見学する。加工前の材料が供給される工程から加工後の完成品が出荷される工程まで、全てをくまなくチェックして課題を分析する。テックマンロボットがお客さまの課題解決につながると判断できれば、次のステップとして具体的なソリューションを提案する。単一の工程だけにとどまらず製造現場全体まで視野を広げ、全体最適の視点で省人化や自動化を提案できるのがわが社ならではの強み」と出岡コンサルタントは述べる。