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2019.12.12

日本発で日本初! ロボットハンドでUR+認証取得/シナノケンシ

精密小型モーターメーカーのシナノケンシ(長野県上田市、金子元昭社長) は11月、 電動3爪ロボットハンド「ARH305A」がデンマーク・ユニバーサルロボット(UR)の「UR+(プラス)」認証を取得したと発表した。日本メーカーのロボットハンドがこの認証を取得するのは今回が初めて。「ロボットハンドのメーカーとしては後発だが、展示会などでの反応は良い。3年後に年間1000台の販売を目指す」と中込真二執行役員は話す。

ロボットハンド事業に参入

ロボット本体の操作盤からハンドまで操作できる

 精密小型モーターメーカーのシナノケンシが、ロボットハンド市場に本格参入する。同社は2年前の国際ロボット展でロボットハンドの試作品を発表。その後も展示会などでアピールしてきたが、このほど電動3爪ロボットハンド「ARH305A」を製品版を開発した。

 シナノケンシはロボットハンドのメーカーとしては後発にあたる。他製品との差別化を狙って取得したのがUR+の認証だ。UR+は、UR製の協働ロボットに適合する周辺機器を認証する制度。ハードウエアとソフトウエアがともにURのロボットに対応し、ロボット本体の操作盤から周辺機器の設定や操作ができる。
 UR+認証を取得した海外メーカーのロボットハンドはこれまでもあったが、日本のロボットハンドメーカーがUR+の認証を取得したのは今回が初めて。

手のひらに穴

手のひらの中央に穴がある中空構造を採用

 UR+認証の取得以外にも、ARH305Aはさまざまな特徴を持つ。例えば、ハンドの手のひら中央部に穴がある中空構造を採用した。この穴は使う人のアイデア次第で自在に活用できる。
 例えばカメラを通せば、つかむ対象物を認識したり、二次元バーコードも読み取れる。ライトも通せるし、エアーノズルを通せば簡易的なエアーブローにもなる。
 「使い方次第で、システムに付加価値を付けられるロボットハンド」と中込真二執行役員は自信を見せる。
 
 モーターメーカーならではのノウハウも生かし、モーターとコントローラーを一体で設計。コンパクトな製品サイズを実現した。爪の開閉速度や動作開始位置の制御もできる。

 対象物の硬さに合わせてつかむ力も制御できるため、変形しやすい軟らかい物も持ち上げられる。爪は簡単に付け替えられる構造だが、標準爪だけでも多様な物をつかめる。
 記者陣を前に披露した動作実演では、テニスボール大の軟らかいボールと細い綿棒、お弁当に入れるおかずカップを一つの標準爪でつかんでみせた。変形しやすいおかずカップまで持ち上げて搬送できるのは、繊細な把持力制御ができるこの製品ならでは。

  • 変形しやすいおかずカップをつかんで搬送できる

  • 同じハンドでボールも把持

三品産業などに提案

「年間1000台の販売を目指す」と中込真二執行役員

 同社はARH305Aを、まだまだ産業用ロボットが普及していない三品(食品、化粧品、医薬品)産業などに提案したい考えだ。
 また、一つのハンドで多様な物をつかめる特徴が評価され、機械や電機など従来から産業用ロボットを使ってきた工業系の業界からも引き合いがあるという。
 将来的には、URに限定せず他メーカーのロボットに対応した製品のラインアップも検討する。

 「後発だがさまざまな特徴のある製品で、展示会などで顧客からの反応も良い。3年後に年間1000台の販売を目指す」と中込執行役員は語る。

(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)


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