[SIerを訪ねてvol.16]難しい仕事が「飯のタネ」、駆け込み寺のSIer【前編】/コスモ技研
50台のロボットを連携させた実績も
名古屋市と小牧市を結ぶ名古屋高速11号小牧線の終着点、小牧北インターチェンジを降りて車で5分。国道155号沿いに、全面ガラス張りの近代的な建物が現れる。そこが今回訪ねたSIer、コスモ技研の本社だ。
複数台のロボットが連携して動作する高度なシステムや、ヒーターで1200度に熱された超高温の部品を搬送して鍛造機に供給するシステムなど、同社は付加価値が高く特殊なロボットシステムの構築を得意とする。
営業技術部の柴田和宏部門長は「顧客とは新工場の建設の段階から関わることもあり、中には足掛け5年にわたる長期の案件もある。50台のロボットを連携させるなど大規模なシステムを構築した実績なども豊富」と強調する。
さまざまなメーカーのロボットを取り扱い、可搬質量では500g~2300kgまで対応できる。手掛ける案件の価格帯は5000万円から、大規模なものだと10億円にも上る。
競合他社が敬遠する難しい案件こそが「飯のタネ」で、「複数社に断られた顧客が、最後にわが社に依頼するケースが多い」と柴田部門長。まさに駆け込み寺だ。
取引先のほとんどは一部上場
トヨタ自動車、デンソー、三菱重工業、川崎重工業、JFEスチール、LIXIL(リクシル)、キユーピー、カゴメ、テルモ――。
誰もが知っている大手企業の社名を挙げたが、これらは全てコスモ技研の取引先だ。自社ホームページの「納入実績一覧」から一部を抜粋したが、他にも多くの大手企業にロボットシステムなどを納める。
取引先のほとんどは一部上場の大手企業で、その業界は化学や重工業、工作機械、航空、医療、医薬、食品など多岐にわたる。
特殊な案件や新規開発型の大型案件が多いだけに、同社の業績は景気に左右されにくい。新型コロナウイルス感染症の影響で多くの企業が業績低迷にあえぐ中、同社の元には今も難易度が高い仕事が舞い込むという。
「これまで経験したことのない案件が多く、わが社で仕様書を一から作り込むケースがほとんど。わが社では、まずは全体のシステムの中で肝になる部分はどこかを見極め、そこが解決できるかどうかを検証するのに最も力点を置いている。顧客側も複数社に断られているだけに、真剣度が非常に高くて協力的」と柴田部門長は語る。