3年ぶり開催! 自動化ソリューションに熱視線/MEX金沢2022
全国トップクラスの有効求人倍率
MEX金沢は、日本海側で最大規模の機械工業見本市。石川県に本社や営業拠点、生産拠点を置く機械メーカーや電機メーカーなどで構成される業界団体「石川県鉄工機電協会」が主催する。
第1回の1963年以来、毎年継続的に開催されてきたが、2020年と21年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中止に。3年ぶりの開催となった今回展は「明るい未来へ‼ つながる新技術」をテーマに、159社・団体が669小間の規模で出展した。家族連れや学生なども含め、会期3日間で延べ3万2000人超が来場した。
石川県、富山県、福井県、新潟県から成る北陸地方では、人手不足が深刻な課題となっている。4県とも有効求人倍率が全国トップクラスで、中でも福井県の今年3月の有効求人倍率(季節調整値、受理地別)は1.89と全国1位を記録。人手不足に頭を抱える企業が多いのが北陸地方の現状だ。
それだけに、今回展ではロボットシステムなどを筆頭に、人手不足の課題を解決する自動化ソリューションの展示が目立った。ロボットシステムの前で足を止める来場者も多く、各社の自動化提案に熱い視線が注がれた。
変種変量生産の自動化を簡単に
工作機械メーカーの中村留精密工業(石川県白山市、中村匠吾社長)は協働ロボットシステム「Plug One(プラグワン)」を展示した。複合加工機「SC-100」と組み合わせ、ワーク(被加工物)脱着のデモを披露した。複合加工機とは、異なる複数の加工法を1台に集約した工作機械のことだ。
プラグワンの特徴は、ワークストッカーや複合加工機とワンタッチで接続できること。専用のレバーを操作するだけで、配線や配管の取り回しを考慮しなくても簡単に自動化システムを構築できる。
この他、基準となるワークと専用の測定機器を使って加工機内の幾何誤差(形状などの誤差)を自動で測定する機能「Smart Tuning(スマートチューニング)」など、複合加工機をより使いやすくする新機能も発表。中村社長は「複合加工機は売って終わりの世界ではなく、納入後にどうサポートしていくかが重要。機械を長く使ってほしいとの思いから、現場の負担を削るさまざまな機能を開発した」と強調する。
高松機械工業は、垂直多関節ロボットを使ったワーク脱着のパッケージシステム「ServoROT(サーボロット)-01」を紹介。ロボットとトレーチェンジャーが一体化したシステムで、機械前面に畳一畳分のスペースがあれば既設の工作機械にも後付けできる。ワークの洗浄ユニットや測定装置などの周辺機器も、ユーザーニーズに応じて自由に組み合わせられる。自社だけではなく他社製の工作機械にも搭載できるよう、単品売りも計画しているという。
高松宗一郎社長は「わが社はこれまで、大量生産(量産)向けの高速ローダーを得意としてきたが、それだけでは自動化のニーズに応えきれない。変種変量生産の自動化が可能なロボットシステムもそろえ、自動化ソリューションの提案の幅を広げた」と話す。