名古屋で製造業の専門展が開催、自動化の主役は協働ロボット
協動ロボットを生かす
京セラは会期初日の23日、自社ブースでデンマークのユニバーサルロボット(UR、日本支社=東京都港区、山根剛代表)との協業を発表した。京セラが昨年11月から提供を開始した、人工知能(AI)や3Dカメラを活用して協働ロボットを知能化するクラウドサービス「京セラロボティックサービス」を、URの協働ロボットに対応させた。
同サービスでは台湾のテックマンロボットに次ぐ2社目の協業だ。これにより、同サービスでURの協働ロボットを選択すれば、ユーザーはUR公認の周辺機器「UR +(プラス)」などを活用したロボットシステムを構築しやすくなる。協働ロボットや周辺機器はユーザーが別途購入する必要があり、同サービス自体は定額制のサブスクリプション形式で提供する。
URの協働ロボットで、初年度に国内外合わせて50件のライセンス獲得を目指す。
輸入商社の進和(東京都北区、倪昌浩社長)は中国のJAKAロボティクスの協働ロボットを使ったさまざまなアプリケーション(応用事例)を紹介した。
中でも注目を集めたのがソフト開発会社のヴィッツが今年6月に提供を開始した協働ロボット向けシミュレーションソフト「SF Twin Cobot (ツインコボット)2.0」だ。仮想空間に現実空間を再現する「デジタルツイン」の技術を活用し、遠隔地からでもパソコン上でオフラインティーチングができる。会場では、仮想空間でプログラムを作成し、JAKAの協働ロボットの動作をシミュレーションするデモを披露した。
ヴィッツの担当者は「台湾のテックマンロボットやURなど幅広いロボットメーカーの協働ロボットに対応し、1つのソフトで複数の協働ロボットを同時にシミュレーションできる」と話す。
自動化パッケージを提案
無人搬送車(AGV)メーカーの愛知機械テクノシステム(名古屋市熱田区、小川実社長)は主力製品の「CarryBee(キャリービー)」シリーズと協働ロボットの自動化パッケージシステムを提案した。ブースではこのシステムを活用したワークの脱着作業のデモを披露した。
協働ロボットと台車で構成されたユニットを、AGVが加工機の模型の前へ自動搬送する。円筒形状のサンプルワークを加工した後は「完成ワーク置き台」までユニットを運ぶ。加工機やワーク置き台にはそれぞれマーカーが付いており、ロボットアームの先端に搭載されたカメラでそれを読み取ることで高精度な位置決めが可能だ。
また、デモでは円筒形状のワークの転がる特性を生かした「からくり機構」も紹介した。完成ワーク置き台のレールが傾き、別の搬送台車にワークが移動する。担当者は「からくり機構は電気やエアなどの動力が不要なため、自動化システムに低コストで組み込める」と話す。
農業への活用も
2つのステーションで作業効率を向上
ノルウェーに本社を置くオートストアの日本法人、オートストアシステム(東京都港区、安高真之社長)は中部地方の製造業向けにロボット自動倉庫システム「AutoStore(オートストア)」をアピールした。
目玉は、ピッキングステーションを2つ備えた入出庫用ポート「FusionPort(フュージョンポート)」。従来の標準的な入出庫用ポートはピッキングステーションが1つしかなく、「ビン」と呼ばれる専用コンテナを入れ替えるのに6秒ほどかかっていた。これに対し、安高社長は「ピッキングステーションが2つあればビンの交換時間を大幅に短縮でき、ピッキングの作業効率を格段に高められる」と述べる。
この他、急速充電で長時間稼働が可能な大規模倉庫向けのピッキングロボット「R5 Pro」も紹介し、製造業関係者を中心とした来場者の関心を引いた。
(ロボットダイジェスト編集部 山中寛貴、平川一理)
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