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2018.11.30

イベント

ロボット、どこに置く?工作機械展に見る最新動向【前編】/JIMTOF2018

ジグや砥石(といし)の交換も

メタリックレッドの塗装とロボットで話題を呼んだトーヨーエイテックの展示機

 工作機械の内部にロボットを搭載した企業は他にもある。

 回転砥石(といし)で加工する研削盤メーカーのトーヨーエイテック(広島市南区、市田雅彦社長)は、自社の機械にファナックの小型ロボットを組み込んだ。
 加工材料の付け替えだけでなく、ジグと呼ばれる加工材料の固定器具の交換まで自動化した。 
 「ジグの取り付け方式から新たに開発し、自動化を可能にした。機械メーカーならではの提案」と広報担当者は言う。
 また、メタリックレッドの塗装で注目を集めた別の機械では、砥石の自動交換をアピールした。通常搭載するオートマチック・ツール・チェンジャー(ATC)というユニットを省略し、ロボットにその機能を担わせた。狭いスペースで砥石交換ができるのは、複雑な動きができる多関節ロボットならでは。加工材料の付け替えも同じロボットが担う。
 会場では動作デモを実演し、ロボットの有用性をアピール。見た目だけでなく、中身でも見る人の心をつかんだ。

機械上のデッドスペースを活用

 トーヨーエイテックのブースには、機械の上にロボットを載せた展示もあった。「機内に設置する方がドアの開け閉めなど無駄な時間を省けて効率的。一方で機械の上だと、ロボットを使わない時は普通の加工機として使え、ロボットに不具合があっても生産を続けられるなど、それぞれ長所がある」(広報担当者)。

 機械の上にロボットを取り付けた企業は他にもあり、旋盤メーカーのエグロ(長野県岡谷市、江黒寛文社長)は、旋盤の上に多関節ロボットを搭載した「機ロボ一体無人化セルシステム NUCROBO-8EX」を展示した。
 ロボットの動きに興味を示す来場者でブース内は大いににぎわった。
 旋盤はローダーと呼ばれる専用機器で自動化することが多いが、エグロの佐藤治取締役営業統括部長は「ロボットの方が自由度が高く、導入後に測定ユニットなどを追加しても対応しやすい」と語る。
 ロボットのセットアップまでした状態で顧客に納めるため、顧客は導入後すぐに加工を始められる。

 機械の上はデッドスペースになりやすいが、その空間を有効利用できれば、床面に置く場合と比べて大幅な省スペースになる。スペースに余裕のない工場などでは有力な選択肢の一つと言えそうだ。

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