生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2024.09.30

コラム

[エディターズノートvol.7]夢から現実へ

米国シカゴの製造技術展でロボットを発見!

 9月中旬に東京で開かれた「国際物流総合展2024」の取材を、今年は後輩に任せた(記事リンク:国際物流総合展2024 vol.1 全体の統合制御をデジタルで簡単に)。同じ日程で米国イリノイ州のシカゴで開かれていた展示会を取材するためだ。

IMTSで展示されたApptronik(アプロトニック)のAI搭載ヒト型ロボット「アポロ」。同製品はメルセデス・ベンツの工場で試験運用されている

 その展示会はシカゴショーとも呼ばれる「IMTS(米国国際製造技術展)2024」。金属加工に使う工作機械がメインの展示会だが、ロボットの展示も少なくなかった。
 ロボットで目立ったのは、人工知能(AI)を活用した展示だ。ことさらAIを強調するでもなく、各社が当たり前のようにAIを組み込んだシステムを展示していた(展示リポート記事は近日公開予定)。

日本でもAIロボットが身近に!?

「SHARP Tech-Day」で披露された「ロボットストレージシステム」。AIで保管棚やピッキングステーションの配置を最適化する

 AIが身近に感じられたのは米国だけではない。
 近日中に記事を公開予定の「SHARP Tech-Day(シャープテックデー)」や、国際物流総合展の翌週に東京ビッグサイトで開かれた「ジャパン・ロボット・ウィーク2024」でも、AIを当たり前のツールの一つとして使う展示が目立った。
 9月27日に記事を公開した日立製作所グループの「日立ソーシャルイノベーションフォーラム2024ジャパン」(記事リンク:ロボとAIの自律判断も! 日立が「未来の工場」見せる)でも、AIを使ったソリューションが披露された。

 AIは、2012年の国際的画像認識コンテスト「ILSVRC」でAIの一種である深層学習(ディープラーニング)が注目を浴び、「第三次AIブーム」が本格化した。2010年代後半からは各種展示会でもAIをうたう展示が増えたが、当初は正直「客寄せパンダ」で、「実用性の乏しい話題性のための展示」も多かったように思う。
 しかし近年は、実用を意識したAIソリューションが増え、AIが機能向上や差別化の決め手になってきた。

 生成AIの登場でAIはますます注目されるようになり、投資の世界ではAI関連への投資が過熱しすぎて「AIバブルが崩壊するのでは」との懸念もあると聞く。ハードランディング(急激な落下)は避けてほしいが、良くも悪くも「夢から現実へ」のフェイズ(段階)に入ってきたのかもしれない。

(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)

※「エディターズノート」はロボットダイジェストの編集後記として毎月月末に掲載しています。

〇エディターズノート:記事一覧

TOP