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2024.07.12

イベント

大盛況の3日間、計4万6000人以上が来場/ロボットテクノロジージャパン2024

7月4日~6日の3日間、愛知県常滑市のアイチスカイエキスポで、ロボット・自動化の専門展「ロボットテクノロジージャパン(RTJ)2024」が開かれた。会期中は猛暑に見舞われたが入場行列ができるほど盛況で、3日間合計で前回展比1割以上の増加となる4万6405人が来場した。中部地方はロボットを既に使っている企業も多いが、まだまだ自動化が進んでいない現場も多い。その市場を深耕するため、会場では自動化の裾野を広げるような提案が目立った。

自律性を備えた次世代のロボットシステム

安川電機は「自律分散型のものづくり」を提案

 まだ自動化されていない工程を自動化する、そのために重要になるのが「自律化」の技術だろう。ロボットが自ら状況判断して最適な動作ができれば、これまで自動化が難しかった少量多品種生産でもロボットが活用できる。
 ロボットが自律的に動く「自律分散型のものづくり」を提案したのが安川電機だ。電気自動車(EV)のバッテリーの組み立てをイメージしたデモシステムを展示した。ロボットが自ら判断してバッテリーモジュールやカバーを組み付け、3種類のバッテリーを生産する。「今回展では、4台でシステムを構築した。こうした自律型のロボットシステムを小規模にも導入できることをアピールしたい。『これならうちでも使えそう』と感じてもらえれば」とロボット事業部の池内正明課長補佐は言う。
 その他、新型の産業用ロボット「MOTOMAN NEXT(モートマンネクスト)シリーズ」も展示した。こちらも自律的に動作可能な、次世代型のロボットだ。

井高ブースのMAiRAは対話形式での動作指示も可能

 井高(名古屋市中区、髙田研至社長)はドイツNEURA ROBOTICS(ニウラロボティクス)の人工知能(AI)搭載の協働ロボット「MAiRA(マイラ)」を展示した。ティーチング(教示)要らずで、どこに何を運ぶかを設定すれば、運ぶ順番や経路をロボット自身が判断して作業する。英語やドイツ語など数カ国語に対応し、対話形式でも簡単な動作を指示できる。
 「若い人たちが興味を持ってくれるような最新技術の展示を目指した。中小企業にはロボットを扱える人材がまだまだ少ないが、そのような現場でもマイラなら簡単に扱える」と担当員は話す。

ロボットによる加工がトレンドに

ファナックはロボットによるアルミ切削を実演し注目を集めた

 会場内で最大級のブースを構えた企業の1社であるファナックは、多数のロボットシステムを展示した。協働ロボットを数多く展示して幅広いアプリケーション(使い方)を提案したが、協働型ではない一般的な産業用ロボットの展示でも見どころは多かった。
 例えばロボットによる切削加工システムだ。ロボットアームの先端に回転工具を搭載し、EVバッテリーケースを模したアルミ部品をロボットで切削加工する。また、ロボットでレーザー加工するシステムも展示した。レーザーとロボットを同期制御し、精密な加工を実現する。
 「ファナックのロボットシステムなら、高い精度で加工ができる」とロボット研究開発統括本部長の安倍健一郎常務執行役員は話す。

ロボット加工技術研究会が発足し、会場で記者会見を行った

 会期初日の7月4日には、トライエンジニアリング(名古屋市守山区、片山誠二社長)やイワタツール(名古屋市守山区、岩田昌尚社長)など8社が、切削加工用ロボットシステムの市場拡大を目指す研究団体ロボット加工技術研究会を発足した。会場付設の会議室で記者会見を開き、研究会発足の狙いや今後の取り組みについて報道関係者らに発表した。
 発足人の一人であるトライエンジニアリングの岡丈晴専務は「さまざまな企業や研究者に今後参画していただき、切削加工用ロボットシステム市場形成の一翼を担いたい」と語る。

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