[ロボへの道も一歩からCase.1-⑧]立ちはだかる干渉の壁/サンエース編
ロボ納入で計画も加速、とは行かず。
【前回までのあらすじ】 <前回記事はこちらから>
水栓金具の組み立てや検査をするサンエース(岐阜県各務原市、藤田斉社長)は、検査作業の自動化を図るため6軸垂直多関節ロボット「VT6L」を購入。昨年末に納入された。すでにハンドの作成なども進めており、ロボットの登場で計画は加速するかと思われたが……
システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)に頼らずにロボットの導入を進めるサンエースでは、旗振り役の藤田社長と実務を担当するベテラン生産技術者の斉藤さんの二人三脚で計画を進めている。
自動化をする作業は、配管に使われる鋳物部品「エルボ」の耐圧検査だ。ストッカー(箱)に整列したエルボを取り出し、検査機へセット。検査後は取り出して良品、不良品に分けてストッカーに整列させる。それを実現するため、エルボの持ち方に合わせ、2種類のハンドの爪を作成(第6話参照)、段積みするストッカーの高さを調整する昇降機も購入した。
ロボットの先端には、「ストッカーからの搬入出」「検査機へのセット」「空きストッカーの移動」の各工程向けに、3つのハンドを取り付ける。先端を旋回させることで、それぞれのハンドを使い分ける予定だ。その旋回する時に、アームの位置や姿勢によって、本体とハンドがぶつかる(干渉する)可能性が出てきた。
図面だけでは分からない場所だったという。
「干渉が出ないように設計したんですが、見落としていたようです」(斉藤さん)
斉藤さんが常に操作をするなら、危険な動作を避けて指示することもできる。しかし、現場では誰がどのような指示を出すか分からない。誰が動かしても大丈夫な設計にする必要があった。