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2021.01.01

[年頭所感]日本ロボット工業会 小笠原浩会長

日本ロボット工業会(会長・小笠原浩安川電機社長)は、小笠原会長の2021年の年頭所感を発表した。その全文を紹介する。

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 新春を迎え、謹んで新年のお慶びを申し上げます。

 本年の年明けは、例年と異なり昨年初頭より世界中に蔓延した新型コロナウイルス(COVID-19)の猛威が第2波、第3波とさらに拡大方向にある中で静かに迎えることとなりました。なかなか終息の兆しが見えない状況ではあるものの、ワクチンの実用化が進み、既にその接種も始まりつつあることから、その効果による感染拡大防止に大いに期待を寄せるところです。

 このような中ではありましたが、昨年末、惑星探査機「はやぶさ2」が6年50億kmもの旅を経て、小惑星リュウグウからの試料を収めたカプセルを見事に地球に帰還させた偉業は、日本国民に大きな感動と元気を与えるとともに科学技術への大いなる信頼と期待を抱かせる明るいニュースでした。

 翻って、このコロナ禍下での2020年の世界経済を見ると、昨年10月の「IMF(国際通貨基金)世界経済見通し」では対前年比▲4.4%と予測しており、わが国においても経済活動の抑制によって生産、雇用・所得、企業収益、そして個人消費の落ち込みといった厳しい年でした。その中にあって、中国ではCOVID-19のいち早い終息とその成長回復が著しく、主要国では唯一のプラス成長となりました。

 明けて2021年の今年は、IMFによる世界経済見通しで対前年比5.2%のプラス成長とするほか、米国の次期政権ではコロナが完全に終息するまで金融緩和を継続することで、景気支援のさらなる強化が期待されるなど、世界経済は緩やかながら景気の回復が期待されています。
このような状況の下、2020 年のわが国ロボット産業は、コロナ禍の影響などにより 年初よりマイナス傾向が続きましたが、中国からの外需増が年後半からの輸出市場をけん引し、全体としてプラス成長が見られました。これにより2020 年は、受注額で対前年比4.7%増の8500 億円、生産額では前年並みの7790 億円となると見込まれます。

 そして、本年のロボット市場は、緩やかな景気回復とともに、従来からの底堅い自動化需要に加えて今回のコロナ禍による感染防止対策上での新たなロボットニーズも生まれており、受注額は対前年比4%増の8840 億円、そして生産額は5.6%増の8220 億円の見通しとしました。

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