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2025.02.05

連載

[活躍するロボジョvol.37]知識を吸収し続ける/アスカ 平木絵理子さん

ロボット業界で活躍する女性にスポットを当てた連載「活躍するロボジョ」。第37回はアスカのロボットシステム事業部で、協働ロボットシステムに関する幅広い業務に携わる平木絵理子さんを紹介する。入社3年目を迎え、ロボットシステムの電気設計など新しい業務にも挑む。「できることが増えていくのが楽しいです。仕事を通じて自分がレベルアップした時にやりがいを感じます」と平木さんは話す。

誰にでも伝わるよう工夫

 アスカは自動車部品事業、分電盤などの制御システム事業、ロボットシステム事業の3つの事業を展開する。1982年に自社の製造ライン向けに直交座標型ロボットを開発したのがきっかけで、ロボットのシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)事業に参入した。昨年には協働ロボットのパッケージシステムや周辺機器などを販売するブランド「UNI-ROBO(ユニロボ)」をスタート。幅広い産業をターゲットに新ブランドを訴求する。

 ロボットシステム事業部に所属する平木絵理子さんは協働ロボットシステムに関するあらゆる業務に携わる。顧客の対象物(ワーク)を使ったロボットの動作検証や展示会用のデモ機のサンプルプログラムの構築、ロボットシステム導入後の顧客サポートなど業務内容は多岐にわたる。

平木さんは協働ロボットシステムに関する幅広い業務を担当する

 また、セミナー講師も平木さんの重要な業務の一つだ。同事業部の拠点である愛知県豊田市の豊田工場では月に1回、代理店を務める中国の協働ロボットメーカーDOBOT(ドゥーボット)の小型協働ロボット「MG400」の使い方を学べるセミナーを開催している。セミナーの進め方やテキストの作成、MG400のサンプルプログラムの構築などを平木さんが一貫して担う。
 
 セミナーには初めてロボットに触る人からある程度知識を持つ人まで、さまざまな人が参加する。そのため、「1つの表現だと全員に伝わらない可能性があるため、言い換えを交えて誰にでも伝わるよう工夫しています」と平木さんは話す。

ロボットの迫力に魅せられて

「工場見学でロボットの迫力に魅せられた」と話す平木さん

 平木さんは大学の工学部を卒業後、アスカに入社した。就職活動で同社の自動車部品事業の工場を訪れた際、大型の産業用ロボットの迫力に魅せられたのがきっかけだ。「『私もこんな風にロボットを動かしてみたい』と思い入社を決めました」と平木さんは当時を振り返る。

 平木さんが在籍するチームは若手からベテランまで幅広い年齢層のメンバーで構成されているが、困り事や疑問点などを相談しやすい和気あいあいとした環境だという。
 
 同事業部の安藤正人次長は「彼女はコミュニケーション能力に長けているため、入社1年目から展示会の説明員を務めるなど即戦力として活躍してくれています」と平木さんを評価する。

常に学ぶ姿勢を大事に

ユニロボチームの一員として展示会などにも参加する

 入社3年目を迎えた平木さんは新しい業務にも挑戦している。実際に顧客に納入する協働ロボットシステムの電気設計を初めて任されたのだ。電気設計はCAD(コンピューター設計支援)ソフトウエアを使ってロボットの制御盤などの電気回路図を設計する。
 
 「デモ機のサンプルプログラムなどは、電気回路図を描かずに構築することがほとんどでした」と話す平木さん。「電気設計はシステムに必要な電力量を計算したり配線を選んだりと考える作業も多いですが、できることが増えて自分がレベルアップした時にやりがいを感じます」と笑顔を見せる。

 休日は友人と映画に行ったり自宅でアニメを見たりしてリフレッシュするという平木さん。現在の課題を問うと、「知識の少なさ、これに尽きます。常に学ぶ姿勢を大事に、知識を吸収し続けたいです」と向上心をにじませる。

 また、セミナーのバリエーションの拡充を目標に掲げる。「今後はDOBOTの他のロボットを扱ったセミナーも開催したいです」と平木さんは意気込む。

(ロボットダイジェスト編集部 平川一理)

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