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2025.03.24

連載

[SI基礎講座vol.20] 導入ステップ④

ロボットのシステムインテグレーション(SI)に関する基礎知識を紹介する本連載企画。「ロボット導入ステップ」の4回目となる今回は、ロボット導入の手順を紹介する。導入手順を4つのフェーズに分解し、それぞれ解説していく。

〔今回の講師:中小機構 経営支援アドバイザー 加藤栄作先生〕


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【今回のポイント!】
〇まずは「人」「場所」「環境」などを検討・調査
〇次にロボットシステムの仕様を検討
〇現場の人とは常にコミュニケーションを

導入の4つのフェーズ

事前検討・調査段階で導入企業が行うべきこと(SI基礎講座、スライド資料より)

 ここでは、ロボット導入の手順について説明します。「ロボット導入ステップ①」でも紹介した4つのフェーズ、「事前検討・調査」「仕様検討」「導入・立ち上げ」「改善・保守」ですね。

 1つ目の「事前検討・調査」では、導入の目的が何なのかをまず明確にしてください。「いつのまにか目的が変わっていた」なんてことがあってはいけません。それと、導入して運用するに当たって、人や場所、環境などは問題ないのかもちゃんと調査しておきましょう。
 人であれば、オペレーションする人の力量に問題はないか。もし力量に不足があるなら、どう対処するのかも考えなければいけません。場所は、ずっと同じ場所に置いておけるのか、システムの移動が必要かなど。環境では、湿度や光などの条件に問題はないか。電源やエアなども必要ですよね。
 それと投資効果の算出も重要になります。

仕様検討(SI基礎講座、スライド資料より)

 次に「仕様検討」です。産業用ロボットにも垂直多関節型や水平多関節型、直交型、双腕型などいろいろあります。どの範囲を安全柵で囲む必要があるのか、囲わなくてよいのならどういった条件になるのか。ワーク(作業対象物)の設置だけは人手でするのか、その作業からロボットにさせるのかなど、人とロボットの作業分担も決めなければいけません。ロボットの選定には扱うワークの大きさや重さ、形状などを考慮する必要があります。何か異常が発生した場合、自動化設備は不良品を作り続けてしまうため、その対策も大事ですね。
 導入企業がこれらを要求仕様書の形にまとめ、システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)に提出します。

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