人の成長が企業の成長に/北川鉄工所 岡野帝男社長インタビュー
創業家以外から初めての経営トップに
――北川祐治会長に請われて入社されました。
昨年2月に、会長から社長就任の話をいただきました。銀行員として経営を支援する立場から親しくさせてもらっていましたが、まさに青天の霹靂(へきれき)。少し悩みましたが、広島銀行の幹部からも応援してもらい、引き受ける決断をしました。今はわくわくしています。銀行では福山市や笠岡市、府中市などの支店に在籍し、地元の工作機械メーカーと取り引きがありました。日本国際工作機械見本市(JIMTOF)にも2010年から足を運んでいます。
――北川鉄工所を外と内から見た印象は。
チャックや円テーブルなどを手掛ける工作機器メーカーとのイメージで、素晴らしいものづくりをしていると感じていました。実際には、工作機器事業の他に、自動車や農業機械などの鋳造部品を製造する金属素形材事業、コンクリートプラントや自走式立体駐車場などの産業機械事業の3つの事業を展開しており、幅広い業界で存在感を示しています。
JIMTOF2024で自動化や省人化をPR
――貴社の強みと課題は。
高い開発力や品質、安定した生産能力が強みです。工作機器事業では、自動化や省人化に貢献する製品の市場投入を目指しています。JIMTOF2024ではBRチャックの自動ジョー交換装置(AJC)「BR-AJC」のデモ運転を披露する他、大型アルミワーク対応のNC円テーブル「RKT-600」、ワーク計測から良否判定、ロボットへの指示までの工程を効率化する「測長判定ユニット」、高い求心性を実現した3爪測長グリッパー「NTS307S」を展示します。課題は二つあり、海外で知名度が高くないことが一つ。語学力を含めグローバルに活躍できる人材の育成が急務です。もう一つは、製品のポテンシャルを十分に発揮できていないことと考えています。ハードウエアとして優れた製品を生み出してきましたが、ハード同士をつなぐソフトウエアの開発にも力を入れ、付加価値を高めたいですね。
――工作機器事業の市況感はいかがですか。
需要のあるところもありますが、楽観はできません。工作機械の受注は前年比では伸びていますが不透明感が強く、複合加工機が増えているためチャックの市場は少しずつ縮小しています。数が減少する分、AJCのように機能を拡張したり既存の製品を結びつけるなど、いかに新たな価値を生むかが鍵になるでしょう。