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2020.04.06

連載

[ロボットが活躍する現場vol.12]第2工場を本格稼働し、生産能力3割向上/コスメック

工作機械や産業用ロボット関連の機器を開発、製造するコスメック(神戸市西区、白川務社長)は2019年10月に第2工場をしゅん工し、20年3月に本格稼働させた。生産体制の合理化を進め、現在までに部品生産能力は3割向上した。本社工場に集中していた部品加工を分散させ、本社工場は少量多品種、第2工場は量産加工に特化させた。第2工場には本社工場にあった加工設備約40台を移設した。

2つの工場で役割分担

第2工場の外観

 コスメックは、工作機械用のジグ(位置決めや固定をする補助器具)関連機器をはじめ、産業用ロボット関連機器、射出成形機やプレス機の金型交換システムなど約1万2000種類の製品を取り扱う。
 寸法精度や面粗さなど部品加工への要求が高く、品質管理に万全を期すために約8割の部品を内製する。

第2工場に移設した量産向け加工設備

 第2工場は、生産品目の多さと高品質な加工を両立し、なおかつ効率化するために建てられた。
 本社工場は数個レベルの少量多品種生産を担い、第2工場は数百個レベルの量産に特化させた。本社工場にあった量産向けの加工設備40台を第2工場に移し、本社工場でもレイアウトを変更し合理化を図った。

部品生産能力は3割増

白川務社長(左)と佐藤直人企画・マーケティング室長

 第2工場のしゅん工以来、2つの工場で異なるテーマで生産性向上に取り組んだ結果、現在までに部品生産能力は3割向上した。

 本社工場のテーマは受注生産対応力。段取り替えや管理作業といった非加工時間を短縮した。
 第2工場のテーマは価格競争力だ。工程ごとに設備をまとめたり、モノのインターネット(IoT)を活用せずとも進ちょくを一目で確認できる工夫をした。「今は導線の工夫で進ちょくを把握できているのでIoT導入を見送ったが、将来的には導入する考え」と白川社長は話す。

段取り替えもロボットで

  • ロボットの真下の引き出しに特に生産量の多い3種類分を準備

  • 被加工材の固定器具やツールチェンジャーはロボットの横に並ぶ

 特に生産量の多い3種類の部品は、ロボットを活用した専用の自動化システムで生産する。材料の供給や完成品の排出だけでなく、ジグ交換を含め3種類分の段取り替えも自動化しており、生産性が高い。
 繰り返し精度の高い自社製品のクランプ器具(被加工物や切削工具の把持用器具)やツールチェンジャーを使うことで段取り替えの自動化を実現した。

 第2工場は本社から車で5分ほどの場所にあり、2万㎡の土地に5600㎡の平屋建ての工場を建てた。投資額は非公開。
 白川社長は「2年越しの計画を実現できた。土地はまだ6000㎡ほどあるので、拡張の余地もある」と話す。道路を挟んで住宅地が広がっているため、音漏れの原因となる窓やドアを極力なくし、建物の中で空気を強制循環させる方式を採用。空調の室外機も住宅地の反対側に集約した。

(ロボットダイジェスト編集部 松川裕希)



※この記事の再編集版は「月刊生産財マーケティング」2020年3月号でもお読みいただけます。

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