食品、医薬品製造を省人化! 多彩なロボットシステム提案【その1】
唐揚げを弁当箱へ
フードテックジャパンは今回が第1回。飲料の開発製造展「ドリンクジャパン」と併せて開催され、各社が食品や飲料向けの設備を紹介した。
食品工場向けロボットを開発するアールティ(東京都千代田区、中川友紀子社長)は、ヒト型ロボット「Foodly(フードリー)」を出展した。安全柵なしで稼動できる協働ロボットで、ベルトコンベヤーの前に立ち、唐揚げをトングでつかんで弁当容器に入れる作業を披露した。
番重(食品用のコンテナ)の中に積み重なった唐揚げは、唐揚げ同士の境目が分かりにくく、自動認識が難しいと一般的に言われる。アールティでは人工知能(AI)の一種であるディープラーニングを活用することで、こうした課題を解決した。
昨年別の食品機械展で披露したプロトタイプと比べ、作業速度は2倍に上がり、つかむ精度も大幅に向上した。
「従来からの人手不足に加え、新型コロナウイルス禍で人の密集を防ぐために食品工場にロボットを導入したいとの声も増えている。プロトタイプにさまざまな改善を加え、間もなく正式発売の予定」と中川社長は話す。
コンビニざるそばにワサビの小袋
機械用チェーンやコンベヤーシステムなどを製造、販売する大同工業は、バキューム搬送コンベヤー「エコキューム」と双腕スカラロボットを組み合わせた自動化システムを展示した。
エコキュームは対象物を吸い付けて搬送するコンベヤーで、上から吸い付けることで、重なりなく小袋を供給できる。
会場では、ワサビの小袋をエコキュームで供給し、ロボットがコンビニのざるそば容器に入れるシステムを展示した。
ざるそば容器内のカップの位置をカメラで認識し、その場所に合わせてワサビを入れる。
ソフトウエアやAIシステムの開発を担った別川製作所(石川県白山市、川島直之社長)の営業担当者は「小袋の認識にAI技術を活用した。小袋の種類が変わっても短時間で対応できる」と語る。
ロボットSIerも出展
工場自動化(ファクトリーオートメーション=FA)に関連する各種省力化機器や検査装置などを開発、製造するティ・アイ・エス(福岡市博多区、平川誠一社長)は、パラレルリンクロボットを組み込んだ高速箱詰め機「オートケーサーTFPK-78」などを展示した。カメラで検出した製品の位置や傾きに合わせて姿勢を制御し、自動で箱詰めができる。
同社はロボットのシステム構築を担うシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)でもあり、安川電機とデンソーウェーブ(愛知県阿久比町、中川弘靖社長)のロボットを使って展示システムを構築。複数メーカーに対応できることを訴求した。
「2017年にロボットのシステムインテグレーションに本格参入し、この3年で実績を積み重ねた。単純作業の自動化を提案したい」と営業担当者は話す。
「その2」ではフードテックジャパン会場で見つけた、食品向けのロボット周辺機器や、荷役台(パレット)に箱を積み下ろすパレタイズ・デパレタイズ専用システムを紹介する。