[ショールーム探訪vol.20]人や物、コトをつなげる結節点/三井物産マシンテック「Industrial Robot Hub」
新幹線も飛行機も
三井物産マシンテックの産業用ロボットショールーム「インダストリアル・ロボット・ハブ(IRH)」があるのは天王洲アイル駅直結の大規模商業ビル内という好立地。天王洲アイル駅には羽田空港につながる東京モノレールと、新幹線が停まる品川駅や東京ビッグサイトにつながる東京臨海高速鉄道りんかい線が乗り入れる。
片岡社長は「飛行機も新幹線もアクセスが良い。出張ついでに気軽に寄ってもらうのも大きな狙いの一つ」と自信を見せる。
天王洲アイルといえばちょっとおしゃれな場所。それに合わせたのか、IRHの内装は、配管を露出させたスケルトンの天井や所々の間接照明などでカフェのような雰囲気もある。
しかし、中身は顧客の課題解決に主眼を置くショールームかつ実証施設だ。同社は、ロボットを活用した人手不足の解消を重点戦略としている。中堅・中小企業の製造現場の工程を再現し、実機のロボットを使いアプリケーション(活用方法)の開発や提案、さらには自社の技術力向上のための教育の場ともする構えだ。
ロボットは全てファナック製で、産業用ロボット1台と協働ロボット3台の合計4台。ショールームにあるロボットは、客先への貸し出しや、客先に持ち込むキャラバンでの使用、展示会への出品などにも使うため、不在のこともある。記者が訪問した日も、1台が貸し出し中だった。
安全柵に囲まれた産業用ロボット「M-20iD」は、3Dカメラ(レーザー)で対象物を判別してピッキングするシステムなどを構築しており、さまざまな実証も行う。来場者は産業用ロボットの実際の使用例と、安全柵なしで触ることができる協働ロボットとの違いを感じることもできる。
協働ロボットは、ボディーが緑の「CR-4iA」と白の「CRXシリーズ」がある。
来場者もニーズもさまざま
IRHがオープンしたのは今年9月1日。完全予約制で、現状は常に予約が埋まっているほど顧客から好評で、強い興味を持たれているという。来場者は、西は関西から東は東北まで、幅広い地域から訪れる。
また、自動車や航空宇宙産業の部品を作る機械加工をはじめ、食品といった三品産業など幅広く、業種や案件の中身、ニーズも本当にさまざまだ。
意外なところでは、リース会社や銀行など、設備投資で大きな役割を果たす来場者もいるという。「営業力を高めるための勉強らしい。やはり自動化への関心は、あらゆる分野で高いということ。金融系の来場者は今後も増えるだろう。さまざまな来場者と情報交換し、市場のニーズを確認できる」(片岡社長)と話す。
自動化・省人化のニーズは引き続き非常に高く、ロボットの案件は確実に増えているという。「ショールームをオープンし、より多くの顧客の声を聞いては『やはりそうなんだな』と、ロボットへの関心や需要の高さを実感している。ショールームもマーケティングの重要な場」と片岡社長は言う。
人気の背景には、ショールームのオープンに合わせて開始したメールマガジンの効果もあるという。機械などの設備ですでに取引のある大手企業が、メルマガを見てショールームに興味を示す事例もある。