[2023国際ロボット展リポートvol.20]システムの立ち上げが簡単に/OnRobot、京セラ、チトセロボティクス、シュンク、アジリル
プログラミング時間を最大9割削減/OnRobot
ロボットシステムの立ち上げで手間がかかる工程の一つが動作プログラムの作成だ。この手間を大幅に軽減する提案で注目を集めたのがデンマークのOnRobot(オンロボット)だ。
協働ロボット用のアプリケーション・サポート・プラットフォーム「D:PLOY(ディプロイ)」を活用し、箱詰め、パレタイジング、ピッキングなど5つの用途向けのロボットシステムを実演展示した。
ディプロイは協働ロボットを使ったシステムの立ち上げ時間を大幅に短縮する製品で、動作プログラムの作成にかかる時間を最大9割削減する。操作や設定の変更はタブレット端末から簡単に指示できる。
「ロボットをよりシンプルな形で大企業にも中小企業にも活用してほしい。今後ディプロイの対応領域を広げ、可搬質量がより大きい機種への対応を検討している」とアジア太平洋地域ゼネラルマネージャーのジェームス・タイラー氏は語った。
サービス展開の方向性を明らかに/京セラ
ロボットの立ち上げを専門のエンジニアがサポートすることも、立ち上げを容易にする一つのアプローチだ。
京セラはロボット導入前の検証から運用まで、継続的に同社のエンジニアがサポートする「京セラロボティックサービス」をPRした。
同サービスは人工知能(AI)やクラウド技術を活用することでロボットの効率的な運用をサポートする。国際ロボット展の開幕直前の11月26日に提供を開始した。
会場ではすぐに提供可能なソリューションと、今後提供を目指すソリューションを展示し、サービス展開の方向性を来場者に広く示した。
多くの来場者が足を止めたのは、2025年の提供に向けて開発を進めている、微細な対象物(ワーク)のピッキング。自社製の高性能カメラを使い、ばら積みされた直径約3mmのナットを、表裏を認識しながらピッキングする。画像認識とロボットピッキングの精度の高さに来場者は驚きの声を上げていた。
森田隆三ロボティクス事業部長は「このサービスは原則として、適用するロボットのメーカーを問わない。その意味であらゆるロボットメーカーは、競合ではなくパートナー。協力して顧客のニーズに応えたい」と話した。