[進化する物流vol.18]自動化テーマで内覧会盛況/Phoxter
いよいよ物流業界で「2024年問題」が表面化する。長時間労働となりやすい物流業界では、自動化による省人化や無人化のニーズが高まるのは間違いない。事業用不動産サービスを提供するシービーアールイー(CBRE)は、無人搬送車(AGV)などを使った自動化システムを手掛けるPhoxter(フォクスター、大阪府豊中市、園田淳一社長)と協力し、物流施設の業者向け内覧会で自動化ソリューションを紹介した。CBREの物流担当者は「自動化への関心の高さもあり内覧会の参加者が多かった」と話す。セミナー講師とデモ披露を担当したフォクスターの搬送ソリューション事業部の矢部秀一さんは「物流業界の引き合いは、これから本格的に増えるだろう」と話す。
中小企業の自動化はこれから
2019年に改正された労働基準法に基づく改善基準告示により、労働時間の上限が短縮されたが、物流業界をはじめ長時間労働に支えられてきた業界では猶予(ゆうよ)期間が設けられた。その猶予期間が2024年3月に終了した。
働き方改革の流れもあり、トラック運転手や物流施設内作業者の労働時間を削減しなければならず、増え続ける貨物量に対応できなくなる――。これが、数年前から物流業界で懸念されてきた「2024年問題」の正体だ。そして、2024年問題が本格的に表面化する恐れがあるのは、むしろこれからなのだ。
CBREは、各地の物流施設でテナント誘致を目的とした内覧会を開催している。同社の担当者は「一部の大手企業を除き、大きな物流施設を複数のテナントがシェアする形が増えている」と話す。また、施設内作業の自動化を進める大手企業に対し、人海戦術で繁忙期を乗り切る中小企業が今も多いが、人手の確保はますます厳しさを増していることから、自動化に興味を持つ中小企業も増えている。
ところが、同社の調査によると古い物流倉庫が全国で数多く使われており、自動化設備を導入するには、床荷重や天井高などの基準を満たす新しい施設への転換が必要となる場合がある。物流施設の賃貸需要は、今後も活況が続く見通しだ。
内覧会で自動化セミナーやデモ
CBREは3月7日、大阪府箕面市にある物流施設「アーバンロジスティックス箕面」の内覧会を実施した。この物件は、昨年1月にしゅん工したばかりの最新鋭の物流施設だ。物流施設が建設される重要な立地条件として、高速道路のインターチェンジなどが近くにあり、都市部からさほど遠くないことが挙げられる。その点で、アーバンロジスティックス箕面は新名神高速道路の箕面とどろみインターチェンジから約2kmと配送に便利で、大阪市内へもアクセスしやすい。
内覧会は、中国のハイクロボットのAGVなどを取り扱うフォクスターと協力して開催。ハイクロボットのAGVを紹介する自動化セミナーとデモンストレーション、実際に稼働する自動化システムの見学を盛り込んだイベントとして企画した。
CBREの担当者は「今回は1日3部制の内覧会に50人以上の参加があった。自動化システムを見学するために参加したお客さまも多くみられた」と言う。