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2024.12.13

「工作機械&ロボット」の最前線がここに!【その3】/JIMTOF2024

11月5日~10日までの6日間、都内の東京ビッグサイトで「第32回日本国際工作機械見本市(JIMTOF=ジムトフ2024)」が開かれた。同展は日本最大の工作機械見本市で、東京ビッグサイト全館を使って開催され、12万9018人(重複なし)が来場した。最大のトレンドは「自動化」で、産業用ロボットを組み込んだシステムが会場内の至る所で展示された。ロボット以外の自動化機器の展示もあり、ロボットを切削機として使う提案も目立った。

多品種少量にも対応しやすい

 工作機械には、「工作機器」と呼ばれる補助機器・部品がいくつも搭載される。工作機械に被削材(ワーク)を取り付けるためのバイス(万力)やチャックなどの固定器具などもそれに当たる。JIMTOFには工作機器メーカーも出展しており、多品種少量生産でも自動化を可能にする製品などが多数展示された。

シュンク・ジャパンが展示した、バイスごとワークを自動供給するシステム「R-C2」

 ドイツに本社を置くシュンクの日本法人シュンク・ジャパン(東京都品川区、星野泰宏社長)は、ロボットハンドのようにロボットアーム先端に取り付けたバイスでワークをつかみ、バイスごと工作機械にセットするシステム「R-C2」を展示した。ロボットアームの先端と工作機械側の両方に、バイスと締結するユニットを取り付ける。
 通常は工作機械にバイスを固定し、そこにワークだけを付け替えるが、その場合はそのバイスに対応したワークしか加工できない。「バイスごと付け替えるR-C2ならバイスを複数種類用意すればワークに合わせたバイスを使用でき、多品種少量生産にも対応しやすい。ワークの6面(全ての面)を加工できるよう、バイスから別のバイスにワークを受け渡せる装置もある」と星野社長は話す。
 ロボットハンドのメーカーであり、工作機器のメーカーでもある同社ならではの提案だ。

松本機械工業は「スマートテラス」で段取り替えの自動化を提案した

 旋盤用チャックなどを製造する松本機械工業(金沢市示野町、松本要社長)は、自動段取り替えシステム「Smart Terrace(スマートテラス)-AIO」を展示した。
 ワークだけでなく、チャックの爪(ワークを直接把持する部位)も自動交換できる。爪を交換することで複数種類のワークを加工できるようになり、多品種少量生産に向く。今回展では新たに、切削工具の交換機能も追加した。自動工具交換装置(ATC)よりも安価で、既設の機械への後付けもできる。
 「スマートテラス-AIOの増産体制を整えており、2026年7月に工場が完成予定。将来は年間販売台数100台を達成したい」と松本社長は言う。

 その他、ナベヤ(岐阜市、岡本知彦社長)の締め付け力が大きいエア駆動バイス「ロックタイトエアーマシンバイス 30kN仕様」や、 コスメック(神戸市西区、木村公治社長)の「無線センシングクランプ」など、各社が自動化に適したワーク固定器具を提案した。

  • 5軸加工にも対応するナベヤの「ロックタイトエアーマシンバイス 30kN仕様」

  • 無線で締結・解放を検知できるコスメックの「無線センシングクランプ」

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