[注目製品PickUp! vol.8]速くて、コンパクトで、おしゃれなロボット【後編】/不二越「MZシリーズ」(1/3)
「自動車一本でいいのか?」
自動車産業向けの大型ロボットやスポット溶接ロボットを得意とする不二越。実は、MZシリーズを開発するまでは小型ロボットを手掛けていなかった。
では、なぜ小型ロボットに着目したのか。
MZシリーズの企画は2011年ごろに始まった。
当時は、高速な動きを特徴に持つスポット溶接用ロボット「SRAシリーズ」が自動車メーカー向けにヒットし、09年のリーマン・ショック(08年9月の米国の大手投信銀行リーマン・ブラザーズの経営破綻に端を発した世界的な不況)によるロボット受注の急落から何とか立ち直りつつある状況だった。
だが、ロボット開発担当の赤川正寿執行役員は「リーマン・ショック以降の立ち直りは自動車メーカーがけん引した。ただ、自動車産業もある程度景気に左右され、一本調子で常に安定しているわけではない」と危機感を抱いた。
今後もロボット需要の拡大が見込まれる中、同社は「自動車一本でいいのか。一般産業機械や電機・電子機器受託製造サービス(EMS)の分野など、幅広い顧客をターゲットにしなければならない」と考えた。そこで、新たな顧客を開拓するため、これまで手掛けていなかった小型ロボットのMZシリーズの開発を決断した。