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2019.02.08

連載

[注目製品PickUp! vol.8]速くて、コンパクトで、おしゃれなロボット【後編】/不二越「MZシリーズ」(1/3)

当連載の8回目となる今回は、不二越の小型垂直多関節ロボット「MZシリーズ」を取り上げる。自動車産業向けの大型ロボットが得意な同社にとり、小型ロボットの開発は“初めての取り組み”の連続だった。高速でコンパクト、そしてデザインも売りのMZシリーズは、果たしてどのように作られたのか。

「自動車一本でいいのか?」

 自動車産業向けの大型ロボットやスポット溶接ロボットを得意とする不二越。実は、MZシリーズを開発するまでは小型ロボットを手掛けていなかった。
 では、なぜ小型ロボットに着目したのか。

 MZシリーズの企画は2011年ごろに始まった。
 当時は、高速な動きを特徴に持つスポット溶接用ロボット「SRAシリーズ」が自動車メーカー向けにヒットし、09年のリーマン・ショック(08年9月の米国の大手投信銀行リーマン・ブラザーズの経営破綻に端を発した世界的な不況)によるロボット受注の急落から何とか立ち直りつつある状況だった。

 だが、ロボット開発担当の赤川正寿執行役員は「リーマン・ショック以降の立ち直りは自動車メーカーがけん引した。ただ、自動車産業もある程度景気に左右され、一本調子で常に安定しているわけではない」と危機感を抱いた。
 
 今後もロボット需要の拡大が見込まれる中、同社は「自動車一本でいいのか。一般産業機械や電機・電子機器受託製造サービス(EMS)の分野など、幅広い顧客をターゲットにしなければならない」と考えた。そこで、新たな顧客を開拓するため、これまで手掛けていなかった小型ロボットのMZシリーズの開発を決断した。

リーチを人の腕の長さに

MZ07などでロボットを作るデモ。リーチは人の腕の長さに寄せた

 小型ロボットで当時メインだったのは可搬質量が5~6kgのクラス。だが、同社はあえて、それより少し大型の7kgタイプの「MZ07」の開発に着手した。

 「なぜ7kgか」と問うと、赤川執行役員は「少しでも大きくしようと思った」と笑って答える。
 そして「ハンドなどが付くので、可搬質量が7kgでも実際に持ち運びできる材料は1.5~2kg程度。小型ロボットは主に人の作業の置き換えに使われるが、人の作業で扱う材料の重さは2kg以内が8~9割を占める。そう考え、可搬質量7kgのタイプを最初に開発した」と続ける。
 人の作業を置き換えるという観点から、MZ07のリーチも人の腕の長さに寄せた。

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