[注目製品PickUp!vol.10]欲しい所に手が届く、片手で運べる協働ロボ【後編】/デンソーウェーブ「COBOTTA(コボッタ)」
使いやすさを追求したデザイン
その小ささだけでなく、白く丸みを帯びた滑らかなデザインも目を引く「COBOTTA(コボッタ)」。
しかし「デザイン先行ではなく、安全性を追求したら結果的に今のデザインになった」とFA・ロボット事業部の澤田洋祐製品企画室長。例えば、指を挟まないような関節形状にし、ねじなどの突起物が外側に出ないような設計にした結果、丸みを帯びた現在のフォルムとなった。
ロボットのアームを人がつかんで直接動かして動作を覚えさせるダイレクトティーチングができるため、作業者がどこをつかむのか、またどんなボタンの形や位置だと触れやすいのかなども考慮されている。
また外部に配線、配管が出ることを避けるため、機内配線で制御できる専用の電動グリッパーを開発した。爪(物をつかむときに動く部分)が交換でき、最大で30mmまでのストロークが可能。対象物を挟んでつかむ電動グリッパーだけでなく、吸いつけて持ち上げる電動バキュームも用意。電動式のため、通常バキュームで必要なコンプレッサーなどの機器をそろえる必要がない。配管作業がなく、ポータブル(持ち運び)性を損なう心配もない。
デザインだけでない、魅力的な機能
小型で軽量なコボッタは、一般的な産業用ロボットの機能を絞った簡易版と思われがちだ。
しかし実際は「コボッタの方が多くの機能が必要」と澤田室長は強調する。
さまざまな場所に持ち運んで使用するには、システムを構成する装置の一つとして外部コントローラーに制御されて稼働するのではなく、独立して使え、さらにはロボット側で周辺機器まで制御できることが求められる。コボッタならこれができ、デンソーウェーブがこれまで開発してきた450~500個ほどのロボットコマンドも利用できる。
コボッタには、使う人のレベルに合わせて複数の操作方法が用意されている。①タブレットとダイレクトティーチングによる単純作業の指示②デンソーウェーブのロボットコマンドを利用した高度な作業の指示③ユーザー独自のシステムによる作業指示――の3つだ。
「簡単であるべきだが、高度なこともできないわけにはいかない」と澤田室長は話す。