製造業にとってAIは必然【前編】/武蔵精密工業
自動化からAIへ
AI人材は社内にいた
AIを研究するには担当者が必要だ。まずは社内公募のような形で、社内にAI人材がいないかを探した。すると、趣味でAIに適した米国NVIDIA(エヌビディア)のGPUと呼ばれる演算装置を買い、AIで最もよく使われるプログラミング言語Python(パイソン)でAIプログラムを作成している社員が2人見つかった。
まずはこの2人のAIエンジニアと設備製作の知見があるプロジェクトリーダーの計3人でプロジェクトをはじめ、外部の研修会なども活用しながらAI人材を増やした。今では10数人がこのチームに所属する。
「もともと趣味でAIプログラムを作るようなメンバーたちなので、水を得た魚のように生き生きと働いている」と大塚社長は話す。
AI企業との合弁会社も
最初は自社の困りごと解決のために研究を始めたが、「細かい事情は各社で違っても、大きな枠組みで見れば『製造業の困りごと』は共通している。わが社と同様に、今後はあらゆる製造企業が必然的にAIを求めるようになる」と大塚社長は考えた。
そこで同社は今年、AIシステムの外販に乗り出す。イスラエルのAIベンチャー企業シックスアイ・インタラクティブと合弁会社Musashi(ムサシ)AIを設立し、開発体制を強化。
愛知県豊橋市の武蔵精密工業本社内とイスラエルに研究拠点を設置し、AIを使った製品の販売を目指す。
ここまでは武蔵精密工業がAI事業に進出した経緯や、研究開発の体制などを紹介した。後編ではいよいよ、同社が開発を進める、AI技術を応用した製品や、AIを使った製造現場の自動化方法などを紹介する。
――後編へ続く
(編集デスク 曽根勇也)
※この記事の再編集版は「月刊生産財マーケティング」2019年9月号でもお読みいただけます。
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