【特集】[集結! 自動化の最新提案vol.4]自粛明けにロボットメーカーが独自アピール(1/3)
小型シリーズに中型ロボをラインアップ/不二越
新型コロナウイルスの影響で出展を予定した展示会が中止。さらに移動の自粛要請で顧客訪問ができずに、営業活動の停滞などが見られる。一方、感染リスク回避や、サプライチェーンの再構築による拠点設立で、ロボットなどを使った自動化、省人化システムの採用が期待される。
不二越は軸受けや工具、油圧などのさまざまな製造部門を持ち、生産現場の自動化ニーズに対応した機能をロボットに持たせられる。同社が新たに提案するのは、自動車部品や一般産業向けの中型ロボット「MZ25」。2013年に軽量でコンパクトな7kg可搬の「MZ07」を開発。以降、1~12kg可搬タイプのMZシリーズをラインアップした。今回は、高速で高精度という同シリーズの特徴はそのままに、最大可搬質量25kgのタイプを開発した。アームのリーチは1882mmと動作領域が広く、中型ロボット市場でのシェア拡大を狙う。
MZ25は手首が中空の構造で、ロボットハンドなどエンドエフェクターへの配線や配管を内蔵でき、周囲に引っかかる心配もない。防錆(せい)機能を標準装備し、防じんや防滴性にも優れる。
今後は簡単に組めるロボットのプログラミングソフトウエアや、ビジョンシステムの拡張機能、ロボットハンドなど、周辺機器の開発に力を入れる。メールニュースを活用し、ロボット単体ではなくハンドリングなど用途ごとの事例でシステムを提案することで、認知度の向上を図る。
大物部品を含む工程全体の自動化/デンソーウェーブ
独自にPSを開催して新製品などをアピールするのが、デンソーウェーブ(愛知県阿久比町、中川弘靖社長)だ。7月16日から18日には、本社と刈谷事業所からの中継でオンライン展示会を実施。事前登録制で、ウェブを活用して全世界からの参加者を想定する。
同社は、ロボットのユーザーでもある親会社のデンソーで自動化ニーズや課題に合わせたロボットを開発し、そこから得られるデータを検証、改良して改善を重ねる。最近は自動車部品の大型化や変量生産への対応が求められ、部品投入から加工、組み立て、検査、梱包、パレット上に並べるパレタイジングまで工程全体を統合するシステムのニーズが高いという。また、自動車部品以外の業界でも、工程全体の自動化ニーズが高かった。そこで、そうした要望に適う中型、大型ロボットのラインアップを拡充。垂直多関節ロボット「VM/VLシリーズ」を7月に発売する。
VMシリーズはアーム長が1506と1804mm、最大可搬質量は25kgの中型ロボット。フルカバー構造で防じんと防水規格「IP67」を実現、さまざまな環境で使用できる。機内配線・配管ができ、カメラやセンサーなどを省配線でロボットアームに装着できる。
VLシリーズは同社ロボット最大の可搬質量40kgで、アームは最長の2503mm。箱を積み付けるパレタイジングや検査、移載、搬送、梱包などの工程での活用を想定する。
両シリーズには、昨年12月にドイツのベッコフオートメーションと共同発表したロボットコントローラー「RC9」を採用する。一般的にはドライバーと一体化したコントローラーをロボットメーカーが専用設計するが、RC9はベッコフの産業用パソコン(IPC)にデンソーウェーブが開発したソフトをインストールして制御する。筐(きょう)体に依存せず、自由度の高いロボットシステムを構築でき、顧客それぞれのニーズに応じたシステム構築ができる。
大型ロボットのラインアップ拡充とRC9による複数ロボットを含む設備の統合制御で、これまでできなかった大物部品の工程全体のシンプルで柔軟な自動化システムを提案できる。従来の自動車部品や電気電子関連に加え、化粧品、食品、医薬品の三品産業や物流関連にも引き続きアプローチする考えだ。