ハンドに画像処理用ソフトも! ロボ関連の製品群拡充【前編】/CKD
世界のFAトータルサプライヤーに
CKDは主力の空圧機器や流体制御機器をはじめとした機器部門と、包装機械やはんだ印刷検査機などの自動機械部門の2本柱で事業を展開する。
16年に10年スパンの長期ビジョンを策定し、10年後の25年を見据えて「世界のFAトータルサプライヤー」になるとの目標を打ち立てた。FAとは「ファクトリーオートメーション(工場の自動化)」の頭文字を取った用語。同社は長期ビジョンの策定を通じ、自社の製品や技術を生かして製造現場などの自動化を支援していく姿勢を表明した。
その一環で、電動アクチュエーターを中心とした直動製品や、ロボットハンドなどのロボット関連の製品群の拡充に力を入れる。19年6月には、組み立てや部品の搬送に最適な水平多関節(スカラ)ロボット「KHLシリーズ」「KHEシリーズ」も国内限定で発売した。
長寿命のハンドに反響
ロボット関連の製品群の中でも代表的なものがロボットハンドで、空圧と電動、真空の3つの駆動方式の製品をそれぞれ取りそろえる。
主力の空気圧ハンドでは、同社従来品に対して寿命を2倍以上に伸ばした「LSH-HP1シリーズ」や、内蔵のセンサーでつかんだ物体の測長などもできる「LSH-HP2シリーズ」の拡販に取り組む。
両シリーズとも、グリスやパッキン(液体や気体の漏れや侵入を防ぐ部品)の素材や、これらを組み付ける部分の設計を見直し、寿命を2倍以上にした。寿命が伸びれば、ハンド交換のために設備を止める頻度が減り、ユーザーの生産性向上につながる。
LSH-HP2シリーズは長寿命に加え、つかんだ物の長さを測定する機能も搭載した。測長だけではなく、姿勢のずれや不良品も検知できる。また、物体をつかんだ時の出力を正常時と比較することで、ロボットハンド先端の可動爪の状態も監視でき、予知保全も実現する。
販売促進部の島竜一郎部長は「反響は大きい。『設備の保全に人手をかけたくない』『設備を止めたくない』との思いが顧客の中にあるだけに、両シリーズとも長寿命が評価されている」と手応えを語る。
20年2月には、デンマークに本社を置くユニバーサルロボット(UR)の協働ロボット専用の空気圧ハンド「RLSHシリーズ」「RHLFシリーズ」「RCKLシリーズ」も発売した。日本企業では初めて、空気圧ハンドの分野でUR独自の周辺機器認証制度「UR+」の認証を取得した。
RLSHシリーズがコンパクトタイプ、RHLFシリーズが薄型でロングストローク仕様、RCKLシリーズが円筒形状の物体をつかむのに最適な3爪の仕様で、顧客の用途に合わせて3つのシリーズを提案する。機械への加工部品の供給や取り出し、ピック&プレース(物体をつかみ上げて所定の位置に置く作業)などの用途を見込む。
島部長は「今後、通常の産業用ロボットの市場もまだまだ拡大するとみているが、協働ロボットの市場はそれ以上の伸び率で成長するだろう。協働ロボット向けのハンドのラインアップをさらに強化したい」と話す。