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2021.12.23

日本の売上高2倍に/イグス 吉田剛社長

「日本法人の売上高を2021年比で2倍に」――。ドイツに本社を置く樹脂部品メーカー、イグスの日本法人(東京都墨田区)の社長に今年10月に就任した吉田剛氏はそう意気込む。日本市場で高いシェアを持つケーブル保護管だけではなく、可動ケーブルやベアリング、直動製品などの拡販もさらに強化し、売上高アップを狙う考えだ。

課題解決に貢献

「イグスの強みは製品開発力にある」と吉田剛社長

 「イグスの強みは製品開発力にある。競合他社にはない独自性の高い製品を通じ、日本の顧客の課題解決に貢献したい」――。
 こう抱負を語るのは、イグス日本法人の今後のかじ取りを担う吉田社長だ。

 前職はスイスの大手ロボットメーカーABBの日本法人で、モーション事業本部長としてモーターなどの拡販に努めた。
 今年に入り、イグスのドイツ本社の経営陣とオンラインミーティングを重ねた。会社の強みや社風、製品の特徴などに魅力を感じ、2021年10月1日に日本法人の新社長に就いた。

非現実的ではない

防滴仕様の多関節ロボット「ロボリンクRL-DP」など、ローコストオートメーションの提案にも注力する

 吉田社長は「できる限り早い段階で、日本法人の売上高を21年比で2倍に増やす」との目標を掲げる。
 同社は機械設備の可動部に使われる「モーションプラスチック」を得意とし、ケーブル保護管「エナジーチェーン」、可動ケーブル「チェーンフレックス」、ベアリングや直動部品などの「ドライテック」の3本柱で事業を展開する。
 この他、最近は「ローコストオートメーション」と銘打ち、低コストで導入できる多関節ロボットの販売にも力を入れている。

 日本ではケーブル保護管で既に高いシェアを持つが、今後は可動ケーブルやドライテック製品の拡販も強化する。
 「可動ケーブルやドライテックの事業は非常にポテンシャルが高く、ケーブル保護管もシェア拡大の余地がまだ大きい。『2倍』というのは決して非現実的な数字ではない」と吉田社長は説明する。

ねじれや複雑な動きに強い「トライフレックスR」(写真は「FOOMA JAPAN2021」のイグスブース)

 産業用ロボット業界には、ねじれや複雑な動きに強いケーブル保護管「トライフレックスR」や可動ケーブルを提案する。「競争力のある製品だと自負しているが、日本市場ではまだ認知度が低い。ロボットメーカーへのPRに注力したい」と話す。

 各事業の売上高やシェアを伸ばすと同時に、営業担当同士の協力体制なども強化していく考えだ。「イグスには、顧客を太陽に見立てて事業活動の中心に据える『ソーラーシステム』との考えがある。日本でも全社員が顧客の方を向いて仕事ができるよう、組織力を高める」と意気込む。
 同社は展示会に積極的に出展しており、会場で配布する「オレンジ色のバッグ」で知られる。展示会に行く人には会社の製品やブランドが浸透したが、今後は展示会に行けない人に対しても、いかに周知を図るかが課題だ。「ウェブなどを使った情報発信を強化したい」と語る。

(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)

吉田剛(よしだ・つよし)
2003年米国テキサス大学オースチン校経営大学院修了、IBMビジネスコンサルティングサービス入社。08年ABB入社、16年取締役。21年10月イグス入社、現在に至る。座右の銘は「人事を尽くして天命を待つ」で、趣味はジャズピアノなどの音楽鑑賞。福島県生まれの51歳。

※この記事の再編集版は、設備財や工場自動化(ファクトリーオートメーション=FA)の専門誌「月刊生産財マーケティング」2021年12月号でもお読みいただけます。

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