[SIerを訪ねてvol.34]2019年に新規参入、今後はコンサルサービスを/田口鉄工所
業界貢献の活動にも注力
江戸時代の俳人、松尾芭蕉の紀行文「おくのほそ道」の結びの地として知られる岐阜県大垣市。市役所や大垣城がある中心部から自動車で南西方向に10分ほど移動した先に、今回取材した田口鉄工所の本社工場がある。
同社の主力事業は産業用ロボット向け減速機の部品加工だ。1951年に創業してから部品加工一本で事業を拡大してきたが、2019年に「ロボット事業部」も設立してSIer事業に新規参入した。
FA・ロボットシステムインテグレータ協会(SIer協会)や中部地域SIer連携会に加盟しており、同社は中部地域SIer連携会の事務局を務める。また、SIer協会が昨年開催した「ロボットアイデア甲子園」の岐阜県大会には実行委員として運営業務に携わるなど、業界貢献の活動にも注力する。
月1のペースで講習会
同社はSIerとして主に、高丸工業(兵庫県西宮市、高丸正社長)と連携して19年に開設した教育施設「RTC東海」の運営業務や、ロボット導入を検討する企業へのリスクアセスメント(リスクの分析と対処)の策定支援を手掛ける。
RTC東海では、産業用ロボットの教示作業に欠かせない安全特別教育の講習会を月に1回のペースで開催する。社内の技術者が講師役を務めており、受講者の取りまとめや募集パンフレットの作成といった事務作業は「活躍するロボジョ」でも紹介した河合美稀さんが担う。講習期間は3日間。講習用に使うのは安川電機と不二越の垂直多関節ロボットで、ロボット1台につき最大4人まで受け入れ可能だ。
「RTC東海を開設した当初は勝手が分からず、講習会を年に2~3回しか実施できなかった。その後新型コロナウイルス禍もあったが、地道にPRを続けて月1のペースで安定的に開催できるようになった」と田口頼之取締役は語る。
最近は定期開催の講習会だけではなく、出張講習や個別の企業を対象とした講習会のニーズも高まっているという。講師は現状で2人だが、今後は4人に拡充したい考えだ。