人の知見を生かす! “リモート化”で外観検査の自動化に付加価値を/リモートロボティクス×イズミビジョンラボ(1/3)
リモートロボティクス(東京都港区、田中宏和社長)は、ロボットを遠隔操作するプラットフォーム(基盤)サービスの開発を手掛ける。完全な自動化ではなく、必要に応じて人が遠隔からロボットを操作する仕組みを構築することで、人とロボットの新しい働き方を実現する狙いだ。リモート化のソリューションが力を発揮する分野の一つに、部品の外観検査がある。従来は作業者が目視検査するのが主流だったが、同社のソリューションを取り入れると何が変わるのか――? 今回はイズミビジョンラボ(愛知県安城市、都築竜郎代表)との協業の事例を基に、外観検査のリモート化のメリットに迫る。
「撮像条件」が重要な要素に
イズミビジョンラボは外観検査装置や画像処理ソフトウエアの開発や製作に加え、協働ロボットを中心とした自動化システムの開発や製作なども手掛ける。大手自動車部品メーカーで生産技術部門のエンジニアとして20年近く勤務していた都築代表が独立し、2021年に立ち上げた。
製造現場では一般的に、作業者が目視でワーク(被加工物)の外観検査をするのが主流だ。しかし、近年の深刻な人手不足を背景に、外観検査の自動化ニーズは高まりつつある。同社は自動車業界で培ったノウハウを生かした外観検査装置の仕様策定や画像処理のアルゴリズム(問題解決の手順)開発を得意とし、自動車を含む製造業各社のニーズに応えている。
都築代表は「画像処理の精度はワーク品質のばらつきに左右されるため、ワークをどう撮影するかという『撮像条件』が重要な要素になる。私は前職の自動車部品メーカーで生産工程を一通り経験しており、どういう風にワークが作られ、それが画像処理にどう影響するかを想像できる。そのため、ワークのばらつきを最小限に抑えられる撮像条件を提案できるのが大きな強み」と話す。
主要なアプリケーションの一つ
最近は協働ロボットを駆使したフレキシブルな外観検査の自動化システムの開発にも力を入れている。システムの付加価値を高めるため、リモートロボティクスの「Remolink(リモリンク)」も積極的に活用している。
Remolinkはロボットの遠隔操作が可能なクラウドサービスで、「リモートによる、人とロボットの役割分担」という新しいリモートワークのあり方を提案するリモートロボティクスが今年7月から提供を開始した。作業内容を完全にロボットに置き換えるのではなく、必要に応じて人が遠隔からロボットを操作する仕組みを構築できるのが特徴で、作業内容のばらつきの大きさから今まで自動化が進んでこなかった工程にもロボットが導入しやすくなる。
イズミビジョンラボが得意とする外観検査も、Remolinkの主要なアプリケーション(応用的な使い方)の一つだ。人の知見とロボットを組み合わせることで、従来は現場ありきだった外観検査のリモート化を実現できる。
同社は今年に入ってからRemolinkを本格的に活用しており、都築代表は「Remolinkを使えば、遠隔アプリが自分でも簡単に作れるし、(ノーコードツールなので)エンジニアだけでそれなりに綺麗なデザインや遠隔操作するうえでは使い勝手の良いユーザーインターフェースが簡単に作れるのは有り難い」と評価する。