デジタルイノベーションの展示会でロボティクスもアピール/CEATEC2024
ギネス記録に認定された技術を披露/三菱電機
最先端のデジタル技術が多数披露されるシーテックには、パナソニックグループやソニーグループ、日立製作所、シャープなど大手電機メーカーがこぞって大規模なブースを構えた。消費者向け製品の展示も多かったが、三菱電機は生産技術機能などを担うコンポーネント製造技術センターの技術を会場内で披露し、話題を呼んだ。
同社が披露したのは、六面立体パズルの色を一瞬でそろえるシステムだ。同社製のサーボモーターやカメラなどを組み合わせたシステムで、各面がばらばらの状態からわずか0.305秒で色をそろえられる。これまで0.38秒だったギネス記録を大幅に更新し、世界記録の認定も取得した。
「応答性の高いサーボモーターや人工知能を活用した独自の色認識技術など、三菱電機の技術を組み合わせることでこの記録を実現できた。一般的な色判別では赤とオレンジの区別が難しく、片方を別の色に塗り替えてしまうチームもあるが、わが社は主成分分析という手法で赤とオレンジもしっかり区別している」とプロジェクトメンバーの一人である糸瀬智也氏は言う。
ハンドの特性生かしキッティング自動化/Thinker
キッティングとは、組み立てに必要な部品一式を事前にそろえる準備作業を指す。シンクハンドFは一つのハンドでさまざまな物を把持でき、爪間の距離で物がつかめているか否かも判別できる。会場ではネクステージの両手をフル活用し、片手で袋をつかんで口を開け、もう一方の手で名刺大の紙やサイズの異なる複数のねじを投入するデモを披露した。
「キッティングはシンクハンドFの特徴を生かせる用途。来場者の反応も良い」と広報担当者は言う。
仮想空間での生産性向上を競技化/東京工科大学 松岡研究室
大学の研究室も出展しており、東京工科大学でロボットビジョンやロボット制御AIを研究する松岡研究室は、企業と共同開発した教育用ロボット「TurtleBot(タートルボット)3 Lime(ライム)」を展示した。ロボット開発のためのオープンプラットフォーム「ROS(ロボット・オペレーション・システム)」で制御する自律移動式のロボットアームで、NVIDIA(エヌビディア)の開発者向けキットを搭載し、AIプログラムのデータ処理に適する。
また、仮想空間に工場を再現し、開発したAIロボットの制御アルゴリズム(データ処理方法)で生産性向上を競う競技会の構想も紹介した。「まずは教育コンテンツとして仮想空間での生産性向上を競技化するが、将来的には事業化して実際の工場の生産性向上にも役立てていきたい」と多胡和哉名誉教授は話す。
(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)
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