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2025.04.17

連載

[活躍するロボジョ vol.38]顧客の課題は自身の課題/シュナイダーエレクトリックホールディングス 佐々井明日香さん

フランスに本社を置く電気機械メーカー、シュナイダーエレクトリックの日本法人シュナイダーエレクトリックホールディングス(東京都港区、青柳亮子社長)の佐々井明日香さんは、同社の幅広い自動化機器の製品群から日本市場へ投入する製品を決める製品戦略の責任者だ。自動化に悩む顧客に、リニア搬送システムや産業用ロボットの提案もする。佐々井さんは「顧客の課題は自身の課題」との意識を持ち、難しい案件でも国内外のエンジニアと連携し課題解決に臨む。

製品戦略を担う

 制御技術に強みを持つシュナイダーエレクトリックは近年、リニア搬送システムや産業用ロボットの提案に注力し、日本でも導入実績を増やしている。こうした自動化機器の分野で同社が存在感を高める上で、佐々井さんは重要な役割を担う。
 同社は実に多彩な製品を開発しており、産業用オートメーション事業に限っても製品群は、サーボモーターやコントローラー、自動化機器、ソフトウエアなど多岐にわたる。佐々井さんはその中から日本市場に投入すべき製品を選定する、製品戦略の責任者だ。

リニア搬送システムの特徴を説明する佐々井さん

 「選定する際には、顧客が抱える課題や業界の技術動向に関する情報収集に努めます。わが社は将来のニーズを先取りするような、先進的な技術開発も多く、投入する製品やタイミングの見極めが重要です」と佐々井さんは語る。
 丹念な下調べをすると同時に、自身の直感も大事にする。「自分がワクワクする製品かどうかも気にしています。その製品にワクワクする理由を考えると、顧客の喜ぶ姿が想像できるからだと思います」と言う。

課題解決を諦めない

リニア搬送システムの導入企業へのインタビュー動画

 佐々井さんは製品戦略の責任者でありながら、自動化に悩む顧客への提案活動もする。同社のリニア搬送システム「Lexium(レクシウム)MC12マルチキャリア」を世界で初めて導入したオリオン機械工業(相模原市緑区、中村允雄社長)には、佐々井さんが同製品を提案してシステムの立ち上げまで携わった。

 オリオン機械工業は自動包装機械を製造しており、新たに日用品の自動包装機を開発する際にリニア搬送システムを探していた。「別々に流れるフィルムと製品を合わせて包装する作業が、コンベヤーや他のリニア搬送システムでは難しかったそう。わが社でもシステムの搬送速度などの要望に応えられるまで時間がかかりましたが、プログラムの調整を重ねて実現しました」と佐々井さんは振り返る。
 ドイツにある開発本部のエンジニアにも相談するなど、社内の技術力を総動員して臨んだという。「システムが完成した際に、課題解決への諦めない姿勢を褒めていただけて、とてもうれしかったです」と笑顔を見せる。

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