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2025.04.22

イベント

大阪・関西万博でもロボットが活躍!

2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)が4月13日に開幕した。すでに多くの来場者が象徴的な大屋根リングやパビリオンへ足を運んでいる。大阪・関西万博には世界の国々だけでなく、多くの企業のパビリオンがあり、その中にはFA(ファクトリーオートメーション=工場自動化)業界やロボット業界にゆかりの深い企業もある。展示物の中から、将来的に製造現場や社会に適用することを意識した技術や製品の例を紹介する。

パビリオン外で運営に貢献

ごみ箱ロボットの横に人が立つと、走行を停止する

 地下鉄夢洲駅から最寄りの東ゲートのそばにパビリオン「三菱未来館」を設けた三菱電機は、パビリオン外でも運営協賛の形で展示をする。1周約2kmの大屋根リングの上を巡回する「自律走行ごみ箱ロボット」がその一例。リング上を歩く来場者に、通りがかったごみ箱ロボットにごみを投入してもらう形だ。

ごみ箱ロボットは時速約1kmのゆるやかなスピードでリング上を巡回する

 高精度な3次元マップデータに各種センサーや準天頂衛星からの位置補正を加えた高精度な測位で、センチメートル級の精度で自らの位置を把握しながら走行する。1週間に3日間、雨天や混雑の激しい日を除き2台が走行する。「屋外の近距離物流の技術的な検証に加え、ごみ箱の場所が常に同じだとごみ箱周辺が汚れやすい問題に対する社会実験の側面もある」と防衛・宇宙ソリューション事業部統合センサシステム部の石井雄一次長は話す。

社会実装の可能性も

 西ゲート近くのパビリオン「未来の都市」内に出展した川崎重工業は、さまざまな地形を走破できる四足歩行ロボット「CORLEO(コルレオ)」や、未来の公共交通「ALICE SYSTEM(アリスシステム)」などを展示。「移動の核となる『ALICE Cabin(アリスキャビン)』は既存のコンテナ規格に合わせたサイズで設計しており、実現可能性を考慮した。手元で飲み物を注ぐアームロボットも備えた」と大阪・関西万博推進課の天辰祐介課長は語る。

  • コルレオが注目を集める川崎重工業のブース。写真奥の箱型の展示がアリスキャビンだ

  • アリスキャビン内のアームロボットは、折りたたんで収納できる設計

 また、外食パビリオン「宴~UTAGE~」内に出展したロボットのシステムインテグレーターのHCI(大阪府泉大津市、奥山浩司社長)は、協働ロボットがドリンクを注ぎ配膳ロボットが来場者に届ける自動化システムを、7月13日まで展示する。「出展に合わせて、ロボットを呼び出すスイッチを開発した。万博を通じ、より身近な存在として多くの人にロボットを知ってもらいたい」と岡本千里管理本部長。その他、たこ焼きの調理を助ける双腕ロボットなどを常設展示する。

  • 「人手不足が深刻で、外食産業でもロボットの導入が進んでいる」とHCIの岡本千里管理本部長

  • 双腕ロボットがたこ焼きにソースとマヨネーズをかけるHCI

  • 圧倒的な存在感を放つ大屋根リング

  • ガンダム像はリングの上から見ることもできる

 この他、デンソーウェーブ(愛知県阿久比町、相良隆義社長)やオムロンなども、ロボットやロボット技術を活用した展示をしている。期間限定の企業や展示物もあるため、足を運ぶ時にはあらかじめ確認して計画を立ててほしい。世界最大級の木造建築である大屋根リングや意匠を凝らしたパビリオンの数々、ロボットアニメ「機動戦士ガンダム」に登場するガンダム像といった、アートやエンターテインメントの見どころも多い。さまざまな楽しみ方ができるのが万博の魅力の一つだろう。

(ロボットダイジェスト 松川裕希)

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