[注目製品PickUp! vol.80]好きな時に好きな所で連結/三機「ガッチャンコ」
設備側から供給
三機が昨年10月に発売した「ガッチャンコ」は、協働ロボットを積載した台車を生産設備や工作機械に短時間で連結できる装置だ。ロボットと台車が一体化しており、生産現場での移動が容易だ。設備側から電源やエア、電気信号を協働ロボットに供給できるため、連結後すぐにシステムを稼働できる。
台車の最大積載能力は25kgで、中国のDOBOT(ドゥーボット)やJAKA(ジャカ)ロボティクス、デンマークのユニバーサルロボット(UR)、日本のファナックなど、国内外の幅広いロボットメーカーに対応する。
「高さ調整式」と「高さ固定式」の2種類を用意しており、高さ調整式はハンドル操作で最大150mmの高さ調整が可能なため、高さが異なる複数の設備にも対応できる。
高精度な位置決め
ガッチャンコの最大の特徴は、メカ式クランプ装置による高精度な位置決め機能だ。位置決めの繰り返し精度は±4μmと高い。協働ロボットシステムの位置決めには、ビジョンセンサーとランドマーク(認識用マーク)を用いるケースが多いが、ガッチャンコにはコスメック(神戸市西区、木村公治社長)のメカ式クランプ装置を採用する。設備側の連結操作スイッチをオンにすると、エアシリンダーが作動し、凸部を押し出して台車をロックする仕組みだ。
「ランドマーク方式はビジョンセンサーでの撮像や補正作業が必要なため、コストがかかる上にタクトタイムにも影響が及ぶ。一方、メカ式は一度連結すれば補正作業なしで即座に作業を開始できる」と吉田取締役は説明する。
メリットを打ち出す
三機がガッチャンコを開発した背景には、協働ロボット市場の競争激化があった。「かつてはブルーオーシャンだった協働ロボット市場も、近年は多くの企業が参入し、価格競争が激しくなった。そのため、単に協働ロボットを販売するだけでは競合他社との差別化が難しい。『三機から買うメリット』を打ち出す必要があった」と吉田取締役は言う。
そんな中、同社が出合ったのがコスメックのメカ式クランプ装置だった。協働ロボットは柔軟な運用が求められ、このメカ式クランプ装置を使えば、ビジョンセンサーを使った位置補正をしなくても即座に作業を開始する仕組みを構築できる。
吉田取締役は「これは市場のニーズに合致する」と確信し、すぐにメカ式クランプ装置を使った製品の試作を開始。「わが社には機械装置を設計、製造できる岐阜工場がある。その強みを最大限に生かし、協働ロボットとメカ式クランプ装置を組み合わせた『ガッチャンコ』を開発した」と吉田取締役は話す。
さまざまなアプローチ
三機はガッチャンコの認知度向上を目指し、「国際ロボット展(iREX)」や「ロボットテクノロジージャパン(RTJ)」などの展示会に積極的に出展する。「展示会は単なるPRの場ではなく、来場者の声を収集してフィードバックし、製品改良につなげる重要な機会」と吉田取締役は話す。
吉田取締役自らが作詞した楽曲を使用したYouTube動画
デジタルマーケティングにも注力しており、ガッチャンコのプロモーション動画を作成。動画配信サイト「YouTube(ユーチューブ)」では、吉田取締役自らが作詞した楽曲を使った動画を配信するなど、ユニークなアプローチを展開する。
また、同社が2023年に開設したロボットソリューションサイト「ROBO PRIDE (ロボプライド)」では、ガッチャンコの特徴の説明だけでなく実際の提案事例なども発信し、ガッチャンコの認知度向上を図る。
吉田取締役は「企業規模を問わず、協働ロボットをもっと効率的に活用したいと考える製造業の生産現場に届けたい」と意気込む。
(ロボットダイジェスト編集部 山中寛貴)
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