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2021.01.08

[注目製品PickUp!vol32]汎用性・拡張性で差別化! 高把持力タイプ発売【前編】/シナノケンシ「ARH350A」

シナノケンシ(長野県上田市、金子元昭社長)は2021年1月7日、3爪電動ロボットハンド「ARH350A」を発売した。「さまざまな物をこれ一つでつかめる汎用性を重視した」とALビジネスユニットRT開発課の佐々木岳課長は言う。手のひら部分は穴の開いた中空構造で、エアなどのノズルや各種センサー、ライトなどを通すことができ、「拡張性も高い」と自信を見せる。19年末に発売した「ARH305A」と比べ、把持力を10倍に向上させた。

大きく開き、小さな物から大きな物まで

 シナノケンシは、ASPINA(アスピナ)ブランドで展開する小型モーターのメーカーだ。
 
 自社のモーター技術を生かせる新規事業として、16年からロボットハンドに着目。市場調査や試作品の開発を重ね、19年末にロボットハンド事業に参入した。
 ARH350Aは、同社が製品化したロボットハンドの第2弾だ。

 特徴は、1台でさまざまな対象物に対応できること。
 「ロボットハンドの多くは、寸法や形状が一定の、特定の部品や製品を素早くつかむために開発されている。そのためストロークが小さく、汎用性が低い。一方われわれのロボットハンドは、1台で多様な物をつかむことを前提に開発した」と開発担当者の佐々木課長は話す。

1台でさまざまな物の把持に対応

 ARH350Aは、爪(ロボットハンド先端の可動部)が大きく開き、小さなものから大きなものまで、幅広く対応できる。爪が平行のままスライドして開閉する方式ではなく、付け根を支点に爪の角度を変えることで開閉するタイプの製品だ。
 ハンド自体の外径より大きな物もつかめ、小さな物を爪の先端でつまむように持つこともできる。

 また、爪は六角レンチで簡単に取り外せるため、把持対象物に合わせた爪の交換も容易にできる。さらに120度間隔で配置された爪の間にはオプション取り付け面を用意。そこに固定爪を取り付ければ2爪構成へも変更でき、顧客自身でのカスタマイズが容易にできる。

手のひらに穴、アイデア次第で広がる用途

中空構造で中に各種ノズルやカメラなどを通せる

 もう一つの大きな特徴が、ハンドの手のひら部分が中空になっていること。「ノズルやセンサーなどを通せ、アイデア次第でいろいろな活用ができる」と佐々木課長は言う。

 例えばエア配管を通せば、ハンドにエアブロー機能を付与できる。切削加工時に付着した切りくずを吹き飛ばす用途などに使える。逆に負圧にして、吸着パッドを付けて吸えば、爪と吸着のハイブリッドハンドが作れる。
 ビジョンセンサーのカメラを組み込んだり、ビジョンセンサー用の補助ライトを組み込むこともできる。

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