[SIerを訪ねてvol.33]ソフト視点で自律化を提案/ソフィックス
スマートSIer宣言
スマートSIer――。
聞き慣れない言葉と認識する人が多いのではないか。それもそのはず、この言葉はソフィックスが生み出した自称だからだ。そもそもは2018年の日本国際工作機械見本市(JIMTOF)出展時に「スマートSIer宣言」とのフレーズを打ち出したのが始まり。
スマートSIerは、ティーチングや、ロボット架台・安全柵・ロボットハンドなどの機械系やハードウエアに強みを持つSIerとは異なり、ソフトウエア技術を中心としたSIerとの意味だ。インテリジェント(知的)な自動化、つまり自律化が設計思想との意味でもあるだろう。
「イメージは、例えば移動手段なら、線路や運行ダイヤなどの制約がある電車ではなく、タクシー」と、スマートSIer事業を担当する花井修取締役は言う。決まったタスクが順次的に進む自動化ではなく、柔軟で動的な自動化を意味する「自律化」をソフト技術で実現するとの意味だ。
泥臭く経験を積み重ねる
「独自に定義したスマートファクトリー像の実現に貢献するのがミッション」と花井取締役は言う。ソフトをベースにした各種自動化システムが必要とのスタンスだ。
独自の定義とは「メーカーや機種、従来システム、人への依存関係が柔軟な工場」。つまり、製造する品種に制約されず多品種少量生産に柔軟に対応するシステムの実現、ハード機器に依存しない開発、人に依存していたことの人工知能(AI)やビッグデータによる解決、従来は何らかの問題がありできなかったことの新技術による解決などだ。
昨今では自律移動型搬送ロボット(AMR)や協働ロボットなど、ソフトによる柔軟な制御や柔軟な運用が可能なロボットを選択する顧客も増えているという。
使用するロボットのメーカーは問わない。「そこは経験値でカバーする。自社の経験値を上げるために、経験を積み重ねている。年に数回は勉強会を開き、各社のロボットについて知見を深めている。『スマート』のために積み重ねていることは泥臭い」と花井取締役は笑う。
硬直的でない、より柔軟なシステムの構築が目指すところだ。