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2023.06.01

[特集 工場物流を刷新せよ!vol.1] マテハンで差を付ける

工場内の物流、つまりマテリアルハンドリング(マテハン)を見直す企業が増えている。自律移動型搬送ロボット(AMR)やロボット自動倉庫など新たなソリューションも普及が進む。マテハンはこれまではあまり目立たない「縁の下の力持ち」的な存在で、古い設備を使い続けている現場も多い。だからこそ、最新システムに刷新するインパクトは大きい。製造業の人材不足は深刻で、工場のあらゆる工程の一層の省人化が求められている。FA(ファクトリーオートメーション=工場自動化)メーカーもアーム付き搬送ロボットを提案するなど、次世代型のマテハンに着目する。いま熱い注目を集める工場マテハンの最前線を追う。

自動化の引き合いは増加

 FAの対象は加工、組み立て、マテハン、管理の4分野と言われる。搬送などのマテハン作業は加工や組み立ての前後にも必ずあり、工場の自動化を考える場合に欠かせない分野だ。
 マテハンと一口に言っても、部品・原材料・副資材などの入荷から製品の出荷までにはさまざまな工程がある。搬送や保管、ピッキング、仕分け、棚入れ、検品、積み付け、荷降ろしなど含まれる作業は幅広い。マテハンを自動化する機器も、各種コンベヤーや無人搬送車(AGV)、AMR、無人フォークリフト(AGF)、自動倉庫、パレタイザー、ソーター(仕分け機)など多種多様だ。
 今、工場内のマテハンの自動化に対する関心が高まっている。人手不足は日本全体の問題で、製造現場も例外ではない。「引き合いが増えており、製造現場のマテハン自動化への関心の高まりを感じる」と話す関係者は多い。マテハン機器業界を代表する団体、日本物流システム機器協会(JIMH)の下代博会長(ダイフク社長)も「新工場の建設時や、現場での業務見直しの際には必ずマテハンの自動化が検討されるようになった」と語る。

業界は右肩上がり

出所:日本ロジスティクスシステム協会「2021年度物流システム機器生産出荷統計」より引用

 工場向けだけに限定した統計データはないが、日本ロジスティクスシステム協会がまとめた「2021年度物流システム機器生産出荷統計」内の「物流システム機器の総売上高(長期時系列)」を見ると、マテハン機器市場は長期的には右肩上がりの傾向にあると分かる。2021年は新型コロナウイルス禍の影響もあり前年の5714億円から5.6%減少して5393億円となったが、18年をピークに5000億円超の高水準が続く。
 22年以降の統計はまだ発表されていないが、大手メーカー各社の決算を見ると22年は再び増加傾向に転じた企業が多い。23年もさらに上昇するとの見通しの企業も多く、マテハン機器市場は今後も成長が続きそうだ。

 マテハン業界は製品開発も活発で、人工知能(AI)などの先端テクノロジーを活用した製品、システムも開発されている。AMRやロボット自動倉庫など新たなソリューションも多く、徐々に普及が進んでいる。先進的なマテハン機器が多く展示される展示会を見ても、マテハン機器への関心の高さがうかがえる。22年9月に開かれた「国際物流総合展」も23年4月に開かれた「関西物流展」も小間数などの開催規模は過去最大で、マテハン機器メーカーのブースは非常に多くの来場者でにぎわった。また昨年3月には「国際ロボット展(iREX)」と一体でマテハン機器の展示ゾーン「マテハン・ロボットゾーン」が設置され、話題を呼んだ。

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