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2024.02.27

なるか!? リニア搬送の普及元年

リニア搬送システムが注目を集めている。各種コンベヤーに代わる搬送方式として、以前から欧米メーカーを中心に提案が盛んだった。さらに昨年11月には、三菱電機が製品化を表明すると、国内からの関心が一層高まった。1月31日~2月2日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された自動化と計測の技術展「IIFES(アイアイフェス) 2024」でも、多くの企業がリニア搬送システムを展示した。

リニア搬送システムとは

 リニア搬送システムは、各種コンベヤーなどに代わる搬送方式として注目を集める。コンベヤーよりも搬送ラインのレイアウトを自由にでき、搬送物を載せた搬送台1つ1つを個別に制御できる。さらに高速搬送を実現し、停止時の位置決め精度が高い。
 そういった特徴を生かし、周辺装置も駆使すると、搬送しながら組み立て作業をするなど、複合的に使える。ユーザーの発想次第で幅広い可能性を秘める。

 一方、これまでリニア搬送システムを製品化するメーカーは限られてきた。主に制御システムに高い能力が求められるためだ。
 リニア搬送システムだけでも、独立した複数の搬送台を同時に制御しなければならない。さらに産業用ロボットや周辺機器などを同期させて、作業をする例が多い。そのため、処理能力の高いコントローラーなどのハードウエアが必要となる。
 さらに、生産現場や物流現場で使う際には、不慣れな作業者が扱う場合もあり、操作しやすいソフトウエアや操作画面を求められる。それらを構築できるメーカーは限られており、実際に製品化するのはコントローラーや制御ソフトを手掛ける欧米メーカーが中心だった。

国内初の曲線型リニア搬送システムに脚光

三菱電機は「リニアトラックシステム」を参考出展した

 そのような流れの中、昨年に三菱電機が製品化を表明した。IIFES2024のブースでは搬送システム「リニアトラックシステム」で電気自動車(EV)向けのリチウムイオン電池製造ラインを構築した。リニアトラックシステムでバッテリー部品を搬送し、同社の産業用ロボットで組み立てや溶接などをする。

 国内のユーザーから三菱電機製のサーボと連携しやすいリニア搬送システムの要望があり、開発を始めた。FAデジタルエンジニアリング推進部の水嶋一哉部長は「国内メーカーとして初の曲線型リニア搬送システムということもあり、昨年の国際ロボット展でも反響が大きかった。搬送スピードの向上など、機能を高めるべく開発を進めている」と話す。同製品は今年の秋ごろに発売予定という。

搬送システム上で非接触給電

リニア搬送システム上で非接触給電ができる技術をアピール(ベッコフオートメーション)

 リニア搬送システム開発の先端に位置するのが、ドイツの制御機器メーカーのベッコフだ。日本法人ベッコフオートメーション(横浜市中区、川野俊充社長)は、リニア搬送システム上で非接触給電ができるモジュール「NCT」を披露した。
 リニア搬送システム「XTS」の裏側にNCTを取り付け、可動子がその上を通る間に給電する。川野社長は「可動子にハンドを搭載すると、高度なハンドリングを無配線で自動化できる。可動子それぞれに小型のロボットを搭載しているようなイメージ」と説明する。

 ブースには衛生対応のXTSも展示した。素材にステンレスを採用し、接合部はパッキンで密閉するなどの工夫を凝らした。防じん・防水保護(IP)等級の「IP69K」に適合しており、高圧洗浄や薬品洗浄にも耐えられる。

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