[ショールーム探訪vol.26]機械商社という殻を打ち破れ!/中央工機「クリエイトスペース」
展示内容をリニューアル
安城市は愛知県の中央部に位置し、自動車関連企業が多く集まる地域だ。
安城市にあるクリエイトスペースには、新幹線が停車する三河安城駅や岡崎バイパス沿線の藤井インターチェンジから、自動車で5分ほどで行ける。真っ白な建物に「中央工機」と書かれたロゴが目印だ。
中央工機が運営するクリエイトスペースは安城営業所の1階にあり、自社で取り扱うデンマークのユニバーサルロボット(UR)の協働ロボットや中国のスタンダードロボット製のAMRを使った複数のデモシステムを常時展示する。もともと2019年のオープン時には協働ロボット単体だったFA設備の展示を、23年に来場者が使用するイメージが膨らむようにリニューアルした。
模擬生産ラインを展示
クリエイトスペースに入って、最初に目に飛び込んだのは、部屋のスペースの半分を占める模擬生産ラインだ。
具体的には、URの2台の協働ロボットとスタンダードロボットの2台のAMRを活用した電気自動車(EV)のババッテリーケースの組み立てラインだ。変種変量生産を想定しており、バッテリー部品の運搬やバッテリーケースの組み立て作業などを自動化する。
同社の主要取引先である自動車業界はEVシフトが進んでいる。そのため、内燃機関車の部品加工向けに機械や工具を提案する従来のビジネスのままではいずれ需要が先細りする恐れがあった。
黒川社長は「このままでは『中央工機の存在意義がなくなる』と危機感を覚えた。そこで、今後の自動化ニーズの広がりが期待できる物流市場を開拓できれば、自社の存続や発展につなげられると考えた。競合他社との差別化を図るためにも、クリエイトスペースをリニューアルするタイミングで模擬生産ラインを新たに追加した」と語る。
模擬生産ラインでは、あらかじめマッピングした位置情報を基に、AMRがセンサーで周囲の環境を認識して走行しながら必要な部品をピックアップし、URの協働ロボットの架台まで運ぶ。
企画部営業革新課の中村真那斗係長は「スタンダードロボットのAMRは停止精度が高く、標準で±10mmを誇る。また、位置決め用のマーカーを使うことで、さらに停止精度を上げられる。その他、狭い場所でも走行でき、走行幅の限られる現場での運搬で力を発揮する」と話す。
動作半径が大きい
バッテリーケースの組み立てラインの他、20kg可搬の協働ロボット「UR20」を使った段ボール箱のパレタイジング(積み付け)の自動化システムも展示している。
UR20のリーチは最大1750mm。中村係長は「リーチの動作半径が大きいのが強み。また、安全機能も17種類備えており、産業用ロボットに対する安全基準が厳しい自動車関連企業でも安心して導入していただける」と話す。
また、中央工機は昨年12月、自動車関連企業からの自動化需要を取り込む狙いで、設備メーカーのNES(愛知県安城市、西山勝社長)を買収した。URの協働ロボットはそのNESのショールームでも活躍しており、中村係長から「せっかくなのでNESのショールームもご覧ください」と誘いを受けた。
記者はお言葉に甘え、NESのショールームに今から向かうことに――。