生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2024.08.19

連載

[ロボットが活躍する現場 vol.37]解決策はロボットしかない/コバヤシ精密工業

コバヤシ精密工業(相模原市南区、小林昌純社長)は、航空機や工作機械、ロボットなどの小ロット部品の切削加工を得意とする従業員数22人の町工場だ。工作機械メーカーが販売する協働ロボットシステムや工作機械内蔵型のロボットシステムを導入し、被削材(ワーク)の交換などを自動化した。「ロボットの導入で生産性は大幅に向上し、スタッフへの負担が大きい夜勤シフトをなくすこともできた。ロボットがなければ事業を継続できなかった」と小林社長は語る。

発表と同時に発注

安全柵なしで省スペースなマザックのEz LOADER

 コバヤシ精密工業の工場では、2台のロボットが稼働する。1台は、大手工作機械メーカーのヤマザキマザック(以下、マザック)が販売する「Ez LOADER(イージーローダー)10」。もう1台が同じく大手工作機械メーカーのオークマが販売する「ARMROID(アームロイド)」。

 最初に導入したのはイージーローダーだ。10kg可搬のファナック製の協働ロボットを台車に取り付けたシステムで、マザックの複合加工機「INTEGREX(インテグレックス) j-200S」に組み付けて使用している。安全柵なしで稼働でき、移動させることもできる。工作機械メーカーがワーク交換専用に開発したシステムだけあり、専用ソフトウエアを内蔵し、操作や設定変更がしやすいことが特徴だ。
 システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)には依頼せず、メーカーの協力を得ながら自社で導入し、運用している。「以前もロボット導入を検討したことはあったが、使いこなすのが難しく、断念したことがある。イージーローダーはビジョンシステムで位置の補正ができ、アームを手で持って動作を覚えさせるダイレクトティーチングも可能で使いやすい」と小林社長は語る。同社のような多品種少量生産の工場では、ワークが変わるたびにSIerに頼むことは現実的ではないため、自社スタッフで扱える使いやすさは極めて重要という。

 イージーローダーは2021年に発売されたシステムで「発表と同時に注文した。発注はわが社が一番早いのではないか」と小林社長は話す。

オークマの複合加工機の加工室内にロボットアームを搭載

 もう1台のアームロイドはオークマの複合加工機「MULTUS(マルタス)B300Ⅱ」に搭載されている。
 アームロイドは特殊なロボットで、工作機械の加工室内にアームが格納されており、自動運転時はワークストッカーを機械前に据え付けて使用する。工作機械の制御装置から操作でき、ロボットの専門知識は不要のため工作機械しか扱ったことのないオペレーターでも使いやすい。こちらは22年3月に導入した。

TOP