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2024.12.26

山善が傘下の東邦工業とロボットシステムを共同開発

山善は11月28日、グループ企業の東邦工業(広島市安佐北区、丸山洋彦社長)と共同開発したロボットシステム「ROBO-COTATZ(ロボこたつ)」を発表し、販売を開始した。ロボこたつは、協働ロボットを載せた架台を自律走行型搬送ロボット(AMR)がリフトアップして運ぶ。協働ロボットを必要な場所に適時配置し、運び終えたAMRは別の搬送作業ができるため、効率的に運用できる。標準仕様で最低価格が税抜き1680万円。今年度に10セットの販売を目指す。

効率的なロボット運用に反響

ロボこたつ本体を搬送後、AMRは別の作業に移行できる。本体の設置位置の誤差はロボットのカメラで補正する

 山善は11月28日、傘下の東邦工業と共同開発した「ロボこたつ」の販売を開始した。自動化・省力化設備を手掛ける東邦工業は、メーカーやシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)の機能を担うグループ企業。山善が顧客のニーズを取りまとめ、東邦工業が製造する形で商品化した。

 台湾テックマンロボットの協働ロボットや電源、通信ユニットなどを架台に載せた本体と、中国のユーアイボットのAMRを組み合わせた構成が標準仕様。価格は税抜き1680万円から。AMRが本体を載せて作業場所まで運び、ロボットが作業をする間にそのAMRは別の本体を運んだり、別の搬送作業をすることができる。

 山善の中山勝人トータル・ファクトリー・ソリューション(TFS)支社長は「適切な時、適切な場所にロボットを配置し、移動手段が不要な間はAMRを解放することで、現場のロボットやAMRの台数を最適化することができる」と話す。

右から山善の植島代志和TFS支社技術サポート部長、中山勝人TFS支社長、東邦工業の丸山洋彦社長、ユーアイボットの張朝輝総経理

 11月28日と29日に開催された東邦工業初のプライベートショー(PS)が、ロボこたつの披露の場となった。PSには約100人が訪れ、ロボこたつの機能や運用方法の説明に、熱心に耳を傾けた。

業界問わず引き合いに期待

東邦工業初のPSでロボこたつを発表した

 顧客のニーズに合わせて、他メーカーのロボットやAMRなどを使ったり、検査装置やコンベヤーを追加するなどカスタマイズにも対応する。ロボこたつ本体の設置位置の誤差の補正にロボットのカメラを用いるため、カメラを標準搭載するテックマン製ロボットを採用した標準仕様がコストパフォーマンスは最も高い。

 汎用性とカスタマイズの幅の広さから、あらゆる産業で引き合いを見込み、今年度に10セットの販売を目指す。当面はTFS支社の商品として扱い、将来は山善のパートナーSIerにも供給する考えだ。

(ロボットダイジェスト編集部 松川裕希)

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