AI対応や高度なセンシングなど一歩先行くソリューションが集結
より使いやすくAIにも対応
同ゾーンは多くの来場者でにぎわったが、中でも注目を集めたのがデンマークに本社を置く協働ロボットメーカーのユニバーサルロボット(UR、日本支社=東京都港区、山根剛代表)のブースだ。
同社は今回展で、ティーチングペンダントから動作教示や各種設定などをするための専用ソフトウエア「Polyscope(ポリスコープ)」の全面リニューアルを発表した。
新開発の「ポリスコープX」では、オペレーター向けの簡易的な設定変更画面を作成しやすくした。これまではシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)がさまざまなパターンの動作プログラムをあらかじめ作成し、オペレーターはそれを選んで実行するだけだったが、ポリスコープXで用途に合わせたオペレーター向け画面を作成しておけば、対象物(ワーク)のサイズ・重量や置く場所の設定などをオペレーター自身が簡単に変更できる。
また、よくある動作を1ボタンで実行できる「スマートスキル」機能を追加した。例えばアームの先端を「ワークと接触するまで直進させる」といった動作は、内蔵する力覚センサーとの連携が必要で通常は設定に手間がかかるが、スマートスキルの中からコマンドを選択するだけで設定できる。
動作経路の生成やドリルに絡まる切りくずの確認などにAIを活用
AIとの相性が良いこともポリスコープXの大きな特徴だ。AI機能の実装に使われることが多いオープンソースのロボット用ソフトウエア「ROS(ロス=ロボット・オペレーティング・システム)2」とシームレスに連携できる。
UR製協働ロボットにAI機能を持たせるための拡張キット「AI Accelerator(AIアクセラレーター)」も併せて発売した。これはAI処理に適したNVIDIA(エヌディビア)のユニットと3Dビジョンセンサーなどをセットにしたもので、UR製協働ロボットに接続すれば、AIを使った物体認識や動作経路の自動生成、画像検査などが可能になる。
これまではROS2で制御する場合はポリスコープの機能は使えなかったが、ポリスコープXではポリスコープ内でROS2のAI機能を使えるため「経路の自動生成などAIが必要な動作はROS2で、AIが不要の通常動作はポリスコープで制御する」といった使い方ができるよう。
会場では、物体認識、経路生成、画像検査などにAIを活用した動作デモを披露した。「とても大きな反響があった。『こういった作業には使えるか』など具体的な質問も多く、関心の高さを実感した」と吉岡孝朗シニアマーケティングマネジャーは話す。