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2020.11.04

産業ロボット向けも拡充 アルミ構造材のSUS【前編】

軽さや種類は武器に

 アルミ材の「軽さ」や、長さや形状など構造部材の種類の多さは武器になる。製造現場への後付けの導入では、既存の設備に干渉しないよう、自由に設計できる。

 研究室やオフィスなど、重量物を運ぶための貨物運搬専用エレベーターがない建物でも、通常のエレベーターで部材を搬入できる。現場で組み立てられるため、ドアや天井の高さに制限されることもない。鉄とは違い、現地で溶接することもない。

「Flex Pickerオールインワン」はロボットと各種周辺機器を一体にした

 SUSに転機が訪れたのは2017年のこと。スイスのロボットメーカー、ABBからパラレルリンクロボットを取り付けるフレームについて引き合いがあった。
 ABB側からの依頼を基に、SUSがさまざまな提案を重ねたことで、高剛性アルミ構造材「ZFシリーズ」が2018年、ABBの製品の標準フレームに指定された。「標準パッケージ」としてカタログにも掲載された。

 架台にZFを使った「Flex Picker(フレックスピッカー) オールインワン」だ。ロボットとコンベヤー、安全機器、コントローラー、ビジョンシステムなどを一体にしたものだ。

今年から人との協働ロボットに向けた専用台車も発売した

標準パッケージにしたことで
① 直感的にサイズ感が分かり、設置の可否を判断しやすい
② ロボットを扱った経験がない顧客でも導入後のイメージがしやすい
③ 架台の設計や周辺機器の選定にかかる工数を削減できる
④ アルミ製の軽さとキャスター付きユニットで、搬送や移動が手軽にできる
⑤ アルミフレームの汎用性でカスタマイズも簡単
  ――などのメリットがある。

 パラレルリンクロボット向けだけではなく、今年から安全柵なしで稼動できる協働ロボットに向けた専用台車も発売した。

 自社で製造し、設計するアルミフレームの強みを生かし、今後の普及に期待がかかる産業用ロボットや協働ロボットの分野での採用を見込み、販売を強化する考えだ。

――後編に続く
(ロボットダイジェスト編集部 長谷川 仁)



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