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2019.01.25

欧米や日本だけじゃない。台湾にもロボットメーカーが!【その1】

産業用ロボットと言えば、米国で研究が進められ、欧州メーカーが市場を開拓し、日本メーカーもそれに続いたとされる。諸説あるものの、欧州と日本のメーカーが多くのシェアを占める現状を見れば疑いようもない。しかし欧州や日本のメーカーだけでなく、台湾にも産業用ロボットのメーカーがあり、工作機械とともに中国をはじめとするアジアや欧州の新興国の市場に進出している。台湾メーカーのロボットと、ロボットを導入した自動化や省人化の取り組みを紹介する。

抜群の知名度/ハイウィン

日本では圧倒的な知名度を持つハイウィン

 台湾のロボットメーカーと言えばハイウィンが有名だ。日本国内でも、2年に一度東京で開催される「日本国際工作機械見本市(JIMTOF)」に実機を使って実演展示しており、他のメーカーと比べて群を抜いた知名度を持つ。
 ロボットの開発は日本の三菱電機との技術提携で進められたという。ボールねじやリニアガイドウェイ、リニアモーターなどを製造、販売しており、他社に比べ自社内での技術の転用や応用が比較的容易だったことも功を奏したようだ。

 多関節ロボットやパラレルリンクロボット、スカラロボットなど、主要な産業用ロボットの機種は網羅している。ロボットの技術を生かし、病院での患者のリハビリなどの医療用ロボットの開発にも力を注ぐ。
 海外メーカーとの提携や企業の買収で、ロボットの制御システムや周辺機器の開発にも力を入れている。日本市場での導入事例はまだ少ないが、工作機械など台湾のFA(ファクトリーオートメーション=工場の自動化)設備メーカー各社が強みを持つ中国市場や、欧州の新興工業国での販売や導入に力を入れている。
 台湾中部の台中市にある本社1階のショールームでも、さまざまな駆動部品に加え、各種の産業用ロボットを実演展示している。

独デザインアワードを受賞/デルタ

自社が持つ技術を統合して開発されたデルタのロボット

 「DELTA」ブランドのデルタは2012年からロボットの販売を始めた、比較的新しいロボットメーカーだ。03年にサーボモーターを発売し、10年に自社が持つ技術を統合したことがロボット開発につながった。
 日本での知名度こそ低いが、1971年に台湾でテレビ用の電子部品メーカーとして設立され、創業者の鄭崇華名誉会長が通信機器やFA機器向けなどの電源製品を広く扱うメーカーへと育て上げた。工作機械用を含む数値制御装置(CNC)も製造し、FAの自動化やデータセンター、電気自動車(EV)の充電機器など幅広く扱う。

 デルタは最新の多関節ロボット「DRV」シリーズで昨年、ドイツのハノーバーを本拠地とする団体「iF 国際フォーラムデザイン」による「iF デザインアワード2018」を受賞した。同団体は日本ではなじみが薄いが世界で最も長い歴史を持つデザイン団体と言われ、毎年優れたデザインの製品に対しiFデザインアワードを授与している。DRVシリーズは70Lと90Lをラインアップし、70Lのリーチは最大で710mm、90Lは同900mmで、最大搬送重量はいずれも7kg。

 デルタはCNCを製造販売しており、ロボットコントローラーや各種モジュールなど、制御に必要な周辺機器類は全てデルタ製品で統一できるのも強みだ。ロボットメーカーが多い日本市場では積極的にPRや販売はしていないが、欧州やアジアの新興国市場では、自動化や省人化のニーズに対し積極的にアピールしている。

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