貿易摩擦と新型コロナで大幅な減収減益/安川電機
売上は1割減、利益は半減
中国市場は再始動
米中貿易摩擦の長期化により、グローバルで設備投資需要が低迷した。発表に出席した小笠原浩社長は「新型コロナウイルス感染症の影響は、売上高70億円、営業利益25億円と見積もっており、中間決算時の見通しとの差に近い」と話した。同社の決算月が2月であることから、新型コロナウイルス感染症の影響は今期も続くと見られる。
最大の海外市場である中国での売り上げは、前年度の1034億円から22.6%減り800億円にとどまった。「空調機器にも使われるインバーターは重要なインフラとの扱いで、フル稼働の状態。産業用ロボットは、半導体関連を中心に、引き合いが活発になってきている。新型コロナウイルス感染症の影響でストップしていた納入も進み始めた。それに対し、欧州では顧客の工場の多くが操業を停止しているため、なかなか納入が進まない状況だ」と言う。
異例の対応
19年度の決算発表は同社として異例尽くしの対応となった。
従来、東京証券取引所や北九州記者倶楽部で決算発表していたが、新型コロナウイルスの感染防止のため、本社でのみ発表した。同社としては初めての対応だ。
また、見通しが不透明であることを理由に、21年2月期の見通しの発表を見送ったが、第1四半期の売上は925億円を見込む。直前の前期第4四半期の売上は1012億円だったが、ロボット事業は国内でも顧客の工場の操業停止により納入の遅れが出ており、売り上げを押し下げる要因となっている。
過去に「半期の見通しにとどめたことはあったが、第1四半期だけというのは初めて。それだけ先行きが見えないということ」(林田歩広報・IR部長)と言う。
(ロボットダイジェスト編集部 松川裕希)