[注目製品PickUp!vol.25]0.1mmが分かると、活用法はこんなに広がる【後編】/アサ電子工業「高精度シリンダセンサACHシリーズ」
開発当初は知名度もなく…
アサ電子工業は1974年に設立した。当初は産業機械に内蔵される電子部品を相手先のブランドで製造(OEM)した。そこで知見と技術力を蓄え、90年には耐久性の高い軸継手(カップリング)を自社製品として発売した。
磁気センサーにも長年取り組み、2011年に高精度化を可能にする磁気センサーの要素技術を開発して製品化した。センサー自体の繰り返し精度は0.001mmという。しかししばらくは知名度が低く、また用途も明確ではなかったため、売り上げが伸びなかった。
やがて高精度に目を付けたロボットハンドのメーカーからロボットハンドで使いたいとの要望があり「ACHシリーズ」を17年に開発した。シリンダーの0.1mmの位置ずれを検出できる精度を備える。ハンド内部に搭載できるようにサイズを小型にし、金属加工現場でよく使う加工油剤への耐性を高めた。また、ハンド内部は、高温環境となる可能性もある。そこで、センサーの耐熱温度を85度まで高めた。
機械商社の協力で知名度向上も
ロボットハンドという用途は確立できたものの、さらに拡販するには知名度の向上が必要だった。
橋本岳浩営業部長は「一般に磁気センサーでは『高精度は実現できない』と思われており、顧客も新たな用途を考えようとしていなかった。まずは精度の高い磁気センサーの存在を知ってもらう必要があった」と振り返る。
そこで、以前から取引のあった商社の日伝との協力関係を強化した。協業して展示会に出展し、販促ツールも改めた。具体的な用途を提案することで、知名度向上を図った。その結果、日伝を通じて顧客の要望も聞きやすくなった。
「シリンダーは比較的、簡単な構造で動く。それを使って高精度な検知ができるならと、思ってもみなかった用途を思いつく顧客もいる」(橋本部長)という。