ロボ専用の「手持ち」機械工具で自動化提案を本格化【後編】/日東工器 石澤正光常務執行役員
以前からねじ締めの自動化を提案
――前編では新製品の特徴を伺いました。以前から自動化提案をされていたのですね。
以前から電動ドライバーの「デルボ」と直交ロボットを使ったねじ締めの自動化を提案していました。こちらは既存製品をそのままロボットと組み合わせた例です。ただ、デルボの特徴を生かしたという点では、今回の3製品に似た開発の考え方でした。この先行事例があったからこそ、新製品の企画や開発もスムーズに進行しました。
――デルボの特徴は。
デルボは電動ドライバー本体を別添のコントローラーで制御して稼働します。画一的にねじを回すのではなく、モーターの電流量や稼働時間を基に締め付けるトルク(回す力の大きさ)や回転速度を制御しながらねじ締めをできます。例えば、ねじ締めの序盤はねじがねじ穴に浅くした入っていないので、不安定で振れやすい。ねじ山が誤ってかみ合ったまま挿入されていく失敗も発生しやすいです。デルボはねじ締めの序盤は回転数を下げて慎重に、中盤は回転数を上げてねじの送り速度を高め、ねじ締めが終わりに近づくとまた低速にして、締め終わった際のねじの破損を防ぐように設定できます。初期は1秒で中盤は3秒、残りは終盤といったように稼働時間を基に区切りを任意で決められます。
――ただ単にねじを回転させるドライバーではないのですね。その意図は。
元々は作業者の誰が扱っても作業品質が変わらぬよう、このような製品を開発しました。作業で発生する微調整は電動ドライバー側でできるので、この機能があれば、ロボットにも作業されられます。従来のものは直交ロボットを使った自動化提案でしたが、どうしても汎用性は高くない。そこで最近は協働ロボットをつかった提案も始めました。
――その他にも以前からの自動化提案はありますか。
さらにたどれば、主力製品の一つ、配管をつなぎ合わせる迅速流体継手「カプラ」での自動化提案もあります。この製品は、原子力発電所や火力発電所でも使われています。発電所内では、人が作業できない場所も多い。人が立ち入れない所で配管をつなぎ変える接手としてカプラが使われるため、産業用ロボットや専用機で扱いやすい特殊品も用意しています。発電所や化学工場などでの配管のつなぎ変え作業では、変更箇所を間違うと重大事故が生じる可能性もあります。そして、つなぎ変え作業のミスは、人為的なものが少なくありません。今後は、ロボットが扱いやすいカプラを増やすことも、 自動化提案の一つと考えています。