生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2021.02.18

連載

[ロボへの道も一歩からCase.1-⑩]まずは一通りできるように!/サンエース編

「ロボへの道も一歩から」では、産業用ロボットを初めて導入しようとする会社を記者が訪問、その過程で起きた出来事や苦労などを紹介する。何度も足を運び、ロボットの導入までを追いかける。まだ進行中の計画を取材するため、何が起こるのか誰にも分からない。第10話は、自動化計画の新たなメンバーを迎えたサンエースがまずロボットに一通りの作業をさせられるように挑むが…。

ロボのスキルが当たり前に?

【前回までのあらすじ】
水栓金具の組み立てや検査をするサンエース(岐阜県各務原市、藤田斉社長)は、配管に使う鋳物部品「エルボ」の検査工程の自動化を目指す。システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)に頼らず進める計画は、思ったようにいかないことばかりだが、ついにロボットを購入し、ハンドなどの周辺機器を組み合わせ始めた。

<前回記事はこちらから>

鋳物部品「エルボ」を置く補助具(ジグ)

 12月下旬に届いた6軸垂直多関節ロボット「VT6L」。1月に訪問した時点では工場の隅で待機していたが、2月には組み立てや検査をする工場2階へ移動。ハンドなどの周辺機器も組み合わせられ、外枠も組まれた。
 その作業現場に、これまで実務を担当した生産技術の斉藤さんの他に、もう一人の影があった。

品質管理の糠谷昇さんだ。

斉藤さんと一緒に作業する糠谷さん(左)

 ロボット周りの作業を進める斉藤さんの作業を手伝うため、助っ人として登場。ただし、今までロボットに触れたことはないという。
「斉藤さんが1人で大変そうだったので手伝ってます。何かを作るのは好きですが、専門的なことはさっぱりなので、勉強することも多いです」(糠谷さん)

「後継者です」との斉藤さんの言葉には苦笑いだ。

ロボット周囲の枠を作る斉藤さんと糠谷さん

「大変なことも多いだろうが、気持ちだけでも『後継者』でいて欲しいです」(藤田社長)

 今後、ずっと斉藤さんがロボットを操作するわけにはいかない。ただ、専門性の高い設備はどうしても一部の人しか触らなくなる。担当者以外にとって、ロボットは「自分には関係ない物」となってしまう。それを避けたいという。

「ロボットの操作などに関する知識は、これからいろんな所で役立つスキルになるはず。だから一人でも多くの作業者に経験を積んでもらいたい。もしかしたら、今のパソコンのように、使えて当たり前の時代が来るかも」(藤田社長)

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