モーターをセンサーに、異常検知などが容易に/安川電機
センシング機能拡充
安川電機は3月9日、ACサーボドライブ「Σ-X(シグマテン)」シリーズを発表した。
サーボドライブはサーボモーターと、制御するサーボアンプで構成される。工作機械やロボット、その他産業機械などさまざまな設備に使われる。
シグマテンの大きな特徴の一つが、充実したセンシング機能だ。同社は「アイキューブメカトロニクス」をコンセプトに、「データ活用によるメカトロニクスの進化」を掲げる。そのデータを供給するセンサーの役割を、サーボモーターに持たせた。振動周波数や外乱トルクの推定、慣性モーメント比の推定などができる。また、稼動状況のモニタリングでは、エンコーダーの通電時間や電圧、モーターの総回転量が分かり、ベアリングやオイルシールのメンテナンス予測もできる。
2013年に発売した「Σ-7(シグマセブン)」でも一部センシング機能はあったが、シグマテンでは取得できるデータの項目を大幅に増やした。
また、新開発のセンサーネットワーク機能「Σ-LINK(シグマ・リンク) Ⅱ」では、外部センサーの接続も可能だ。圧力センサーや振動センサー、変位センサー、トルクセンサーなどを接続でき、データを同期させながら、制御にフィードバックできる。
「シグマテンで取れるデータを活用すれば、顧客の要望に応じてさまざまなソリューションが可能になる。自社工場では製品の品質を安定させるために使っており、その他にも設備の故障の防止、突発的な設備停止の防止などいろいろなことに使える」とモーションコントロール事業部長の上山顕治上席執行役員は言う。
基本性能は最高クラス
シグマテンはシグマセブンと置き換え可能で、価格は据え置きだが、基本性能はより高い。速度周波数応答は3.1kHzから3.5kHzになり、指令に対する追従性が改善。モーターの最高回転数は毎分6000回転から7000回転に向上した。エンコーダーの分解能は4倍になり、停止精度が高まった。また、自動調整機能も進化し、簡単に最適で安定した動作にチューニングできる。
「世界最高レベルの基本性能を実現した。置き換えてもらうことで設備の生産性が高まるだけでなく、その設備で製造する製品の品質も向上する」と上山上席執行役員は言う。
まずはサーボモーター3モデル、サーボアンプ2モデルをラインアップし、以降随時ラインアップを拡充する方針だ。
「シグマテンをすぐに自社の産業用ロボットに適用するわけではないが、次期ロボットコントローラーの開発ではシグマテンに実装した機能も重要になる」と上山上席執行役員は話す。
(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)