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2021.08.23

協働ロボに注力、新製品を国内初披露/ABB

スイスのロボットメーカーのABBは、日本市場での協働ロボットの提案に力を入れる。日本法人(東京都品川区、中島秀一郎社長)は8月2日~6日の5日間、愛知県豊田市の中部事業所でユーザー向けのイベントを開催。協働ロボットの新製品「GoFa(ゴーファ)」や「SWIFTI(スイフティ)」を国内初披露した。ABBは顧客への手厚いサポートを強みに掲げ、サービスの拡充にも取り組む。

「もう少し重い物を」の声に応える

GoFaとレーザースキャナーを組み合わせたねじ締めデモシステム

 イベントで初披露したゴーファとスイフティは、今年2月に発売した6軸協働ロボット。同製品により、双腕型と単腕型の「YuMi(ユーミィ)」だけだった協働ロボットのラインアップを拡充した。

 ゴーファは5㎏可搬で、リーチ長0.95m、最高速度が毎秒2.2m。動きの滑らかさが特徴で、各軸にかかる荷重などを最適化して加減速をスムーズに制御する技術を取り入れた。安全性を確保するため、力を検知するトルクセンサーも各軸に搭載した。

 スイフティは協働型ではない一般的な産業用ロボットがベースで、可搬質量は4kg。最高速度は毎秒5mを誇る。

スイフティは一般的な産業用ロボットをベースにした

 どちらのロボットも、安全柵なしで使うにはリスクアセスメント(リスクの分析と対処)が欠かせない。そこで、「SafeMove(セーフムーブ)」と呼ばれる安全機能を搭載した。

 一つは「自己位置監視」。独自のシミュレーションソフトウエア「RobotStudio(ロボットスタジオ)」やティーチングペンダントでロボットの稼働範囲や危険範囲、各軸の動作速度などを直感的に設定できる。定められた範囲や速度を逸脱した際にはロボットが止まる仕組みだ。

 また、外部の安全機器との接続も簡単だ。イベントでは高速でねじ締めをするゴーファに人が近づくと、レーザースキャナーが感知してロボットが動作を停止するデモを披露した。

 「500g可搬のユーミィに対し、『もう少し重い物を搬送したい』との要望があった。ゴーファやスイフティはそれに応える製品」と日本法人の中島社長は語る。

手厚いサポートが強み

今年5月に発売したYuMiや制御機器、架台などをまとめたパッケージシステム

 ユーミィと制御機器、架台などをまとめたパッケージシステムも今年5月に発売。イベントで披露した。ロボットと制御機器との接続など初期設定が済んだ状態で顧客に納めるため、立ち上げ工数を大幅に削減できる。

 ゴーファやスイフティも含め、協働ロボットの主なターゲットの一つがロボットに不慣れな中小企業だ。それだけに、ABBはリモートサポートや6カ月間の導入運用支援などの顧客サービスにも力を注ぐ。

 イベントでは、リモートサポートの事例として、エンジニアと顧客をウェブ会議ツールで接続。ロボットスタジオの遠隔操作で、ユーミィに作業対象物を認識させるプログラム作成を実演した。

ユーザーはリモートサポートでプログラム作成などの疑問をより手軽に解決できる

 「ロボットは購入してもすぐに使えるわけではなく、さまざまな設定が必要。顧客の製造工程を踏まえ、手厚いサポートができるのがわが社の強み」と中島社長。今後はゴーファやスイフティにもリモートサポートを適用する計画だ。
(ロボットダイジェスト編集部 鷲見咲美)


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